鮮度が落ちて食感が悪くなった林檎を、山形では「ミソリンゴ」と呼びます。あの口に入れて咀嚼した瞬間、抵抗もせず泥のように崩れる空しい食感を、林檎とはまるきり縁のない食材になぞらえ、最小限の言葉で余すことなく形容しきった見事さ。この呼び名を思いついた奴は間違いなく天才です(おい)。サクサクでパリッとしてるだろうと期待してカブづいたら*1グズグズでモソモソだったときのどうしようもない失望感。その時山形県民は、吐き捨てるようにこう言うのです。「このリンゴ、ミソだず!」
そのむかし、スキーの得意な同級生が合宿でスウェーデンだかに行った際、そこかしこで林檎が売られているのを見たら喰いたくなって買ってみたのはいいのだが、喰ってみたらどれもこれもミソだらけだったのだそうです。「どこのリンゴもミソだった...」と語り聞かせてくれたとき、ヨーロッパおそろしいと思うと同時に、自分はつくづく山形県民でよかったとおもったのでありました。
ちなみにさいきん買った本は「果物の美味しい切り方」(おい)。
*1:山形方言。「かじりついたら」