何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

大井沢峠再び




こんなに天気がいいのなら眺望も期待できるだろうと、
再び大井沢峠に行ってきました。
大井沢峠は去年の秋に鞍部まで行っているのですが、
そのときは時間や薮等に阻まれ、全線踏破は果たしていません。
そこで薮も雪も少ない今の時期を狙っていたわけです。





二回目ともなると、前回気付かなかったものにもあれこれ目がいきます。
大井沢側峠口から15分ほど分け入った杉林の中に、
ぽつんとお地蔵さんが立っているのを見つけました。
台座に「道難除」の文字があるので、往来の無事を祈って建てられたものなのでしょう。
調べたところによると、お地蔵さんは昭和の初め頃、
峠で行き倒れになった人々を弔うべく建てられたもので、
建立した人の名を取って「秀夫地蔵」と呼ばれているようです。
荒井も手を合わせ、道中の無事をお願いしておきました。





豪雪地帯の大井沢も、さすがに今の時期になればあらかた雪は解けていますが、
至るところにコゴミが大きく茂りだし、道跡を判りづらくしています。
去年の様子を思い出しながら道を辿ること約1時間、
無事鞍部に到着したところで、今回の探索の始まりです。


大江側の鞍部直下は非常に歩きづらい状態でした。
草薮こそ収まっていましたが、道跡には灌木が張り出し、
人一人がようやく歩ける程度の踏み跡があるだけです。
「この先ふもとまでこんた道だったらどうすっぺ?」と、
心配しながら灌木をかきわけ進むのでした。





ところが数分も下っていくと、道は非常にしっかりとしたものに変わりました。
残雪こそありますが、夏なら山チャリやオフロード車でも通れそうなほどで、
登山道というよりも、林道といった方がよいような道です。
大井沢側が荒れた登山道のような有様だったので、このギャップには非常に驚かされました。
峠に行くだけだったら、大江側から登った方が分かりやすいかもしれません。






そこからふもとまではブナ林と杉林を交互に眺めるような道が続き、
特に迷うこともなく、矢引沢まで下りることができました。
下りの所要時間は約1時間で、大井沢からは都合2時間ほど。
一番道が判りづらい鞍部直下を抜けてしまえば、
あとは道を追うのに苦労することは少ないんでないかと思われます。


途中の分岐から行ける切留地区に寄ってみると、
たまたま野良仕事をしていたおばあさんがいて、峠の昔の様子を少し伺うことができました。
現在の県道27号線が開通する以前、峠道はそれなりに利用されていて、
冬場には箱付きの橇で病人を運んだりしたこともあるのだとか。
夏よりも冬の方が道の見通しが利いて判りやすかったなんてことも教えてもらいました。