何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

坪景峠三度




四月にもなって気温が上がってくるとどこかに行きたくなるのが
雪国在住の旅人の性というやつでして、今日は単車のご機嫌伺いを兼ね、
大江町の坪景峠周辺を廻ってきました。
坪景峠は去年踏破してまして、拙サイトでもネタにしてますが、
今度は定期観測とこないだ買った広角レンズで遊ぶのが目的です。
ネタ撮りのようにガツガツしない探索は実に気が楽ですな。







去年坪景峠に行ったのが3月末のことです。
今年はそれに10日ほど遅れて行ってきたわけですが、道中の雪は7割方溶けていました。
今回は尾畑山方面に少し足を伸ばしたりしつつ、
軽井沢側峠口と吉川側峠口を徒歩で往復してきたのですが*1
今期は雪が少なかったせいか笹藪がすでに立ちはじめ、予想外の薮こぎを強いられました。
冬の間出歩かなかったおかげで運動不足の荒井には少々堪えました(泣)





今の時期ならではの新しい発見もありました。
雪が溶けているのをいいことに中腹の登りにさしかかるあたり、
送電線が横切る広場に足を踏み入れてみたところ、放棄された鉄屑があったのです。
一見金網かフェンスかと思いよく見てみると「信光式自動養蚕機飼育枠」の銘板があったので、
旧い蚕棚であることが判りました。
その昔、昭和の中頃まで、当地では養蚕が盛んに営まれていました。
峠には桑畑が作られ、ふもとの邑では人を雇って蚕を飼っていたとか。
この蚕棚はその頃に活躍したものだったのでしょう。
そして養蚕の零落にともない、ここに放置されたのでしょうか。
少なくとも50年以上の時を経た蚕棚に、思いがけず歴史の証人に会った思いがしたのでした。





坪景峠の吉川側峠口の近くには「地蔵滝」という滝があります。
地形図でその存在は知っていましたが、これまで見たことがなかったので、
せっかくだからとついでに見物してみます。
滝は道路のすぐそばにあるのですが、道からその姿を拝むことはできません。
道ばたの薮っぽい土手を下り、一歩先は即断崖という笹藪をかきわけ、
林の中を少し進むと、薮の向こうにようやくその姿が見えてきます。
薮のおかげですっきりとは見えませんが、流量も落差も結構あるようです。
そこそこ大きな滝ではあるのですが、見に行くまでが大変だからか、
あまり有名でないようです。


ちなみに「地蔵滝」は旧い地形図では「地獄滝」と表記されています。
この薮や足場の悪さでは、なるほど、薮こぎに縁のない方にとっては確かに地獄滝でしょう。





念願の地蔵滝を見物して満足したので、今度は寒河江の道の駅「チェリーランド」に行き、
前から気になっていたドネルケバブを食ってきました。
ドネルケバブは牛焼き肉を使ったハンバーガーみたいなトルコ料理です。
寒河江はさくらんぼが縁でトルコのギレスン市と友好関係にありますので、
山形にいながらこういうものが食べられるというわけです。
出店の店頭では金棒に刺した牛肉を炙ってまして、注文するとその肉を目の前でそぎ切りにして、
野菜と一緒にパンみたいなもんに挟み、できたてを出してくれます。
熱い上結構盛りがいいもんだから、どこからかぶりつけばいいのか少々悩みます(笑)
評判どおり旨かったんで、チェリーランドに行く楽しみがまた増えました。





写真機のフィルムが余っていたので、ここで使い切っていこうと、
帰りに大石田の岩ヶ袋にある熊野神社に寄ってきました。
神社は集落裏手の目立たないところにあるのですが、境内には樹齢400年の大杉があり、
参道には沢なんかも流れていて木道なども整備され、村の社としての格式を感じさせます。
季節になれば菖蒲が見られるそうですが、今の時期なのでまだ何も咲いていませんでした。


春先に単車に乗っていると、「次はこさ行ぐべ」「今年は必ずこさ行ぐぞ!」等々、
行きたい場所が次から次へと頭の中に浮かんできます。
峠巡りも一段落したので、今年もいろんな所に行ってみたいものですな。

*1:というか徒歩でしか行けません