何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

GAME OVER

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 例によってお題と記事はあまり関係なく、ハッピーエンドでもひととおりエンディング画面が出た後で表示される「GAME OVER」の文字は、これもまたゲームの終了なんだと認識させるものがあって、こういう表示をするゲームはなかなか気が利いてるなという印象があります。

「鬼ごっこ」&「スペース・トラベラー」

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「鬼ごっこ」。簡単であっても形にしてみる。それが大事なのかもな。
 先日、親切な方からプログラムリストの大量提供を受けましたので、現在せっせと入力中です。ということで今回は手始めに、その中から2本「鬼ごっこ」と「スペース・トラベラー」のご紹介です。


 今回提供していただいたのはアスキーポケットバンクシリーズより「アクションゲーム38」。ポケットバンクシリーズは当ブログでもたびたびその名を挙げているMSX叢書。グラフィックや音楽、ゲームはもちろん、ツールやテキスト操作等々、各巻一つのテーマに沿って具体的な作例を交えつつ、MSXの活用法を提案した書籍です。MSX者には今でも人気で、ヤフオク等では各巻けっこうな価格で取引されているとか。
 さておき「アクションゲーム38」はそのシリーズの一冊。1984年8月発行で、MSX用オリジナルアクションゲームプログラムが38本収録されています。


 「鬼ごっこ」はその38本には含まれていませんが、序章にて作例サンプルとして掲載されている作品です。内容はいたってかんたん。鬼を動かし人間をつかまえるだけ。つかまえたら「ヤッタネ !!」のメッセージが出るだけで終了です。スコアの類いはありません。人間は乱数ででたらめに動かしているだけ。
 ゲーム自体はあまりに簡素で、明らかにつまらない部類に入る内容です(おい)。しかしそれは承知済み。序章の趣旨は「ゲームは思うより簡単に作れるんだよ」と示すことです。ですからゲームのルールは必要最小限、プログラムもごく基本的な命令だけでごく短く書かれてあります。


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「スペース・トラベラー」。ルールの追加でぐっとゲームらしくなった。
 さすがに「鬼ごっこ」は素っ気なさすぎます。そこでゲームをより面白くパワーアップさせるためにはどうするか、ということで手を加えた作例がこの「スペース・トラベラー」です。舞台は宇宙、自機は鬼から宇宙船に、追うべき対象は惑星に変更。鬼ごっこは神出鬼没にワープする惑星を追って宇宙を飛び回るゲームに様変わりしました。若干の変更と追加はされていますが、プログラムの主要部分はほぼ「鬼ごっこ」と同じです。
 今度は残り時間とエネルギーという要素が加わりました。宇宙船が惑星に到達するとエネルギー増加。エネルギーは絶えず減り続け、0になればゲームオーバーです。また、残り時間が0になっても終了。制限時間内にできるだけエネルギーを稼ぎまくるという、より遊べる味付けがされました。


 ポケットバンクシリーズで取り扱っていた内容は、アイディアの膨らませ方やまとめ方、プログラミングの考え方などなど、MSXというハードにとどまらず、他に応用できるものが多かったようにおもいます。
 どちらの作品も簡素すぎて、物足りないゲームではあります。しかし最初の一歩の具体例としては必要十分な内容で、その役割は存分に果たしていると言えましょう。だってゲームが作れない大きな理由の一つは、いきなり大きな作品を作ろうとすることですから!(号泣)。

「さらしす」

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PCGが使えると見栄えが違います
 まったく今年は「写経」がはかどってます。本日ご紹介するのはMSXファン89年7月号掲載のアクションゲーム「さらしす」です。


 「ドットバイパー」ゲームはファンダムでも一ジャンルを築いていた感があります。1ドットの点で描かれた自機。「ヨッパライ」式操作。コナミの「グラディウス」シリーズの一場面を再現したようなステージ等々...がその特徴ですが、この「さらしす」もそうした「ドットバイパー」ゲームに属する作品です。
 ドットバイパーを操作し、ゴールにたどり着くことが本作の目的。ステージは生体を彷彿させる洞窟で、横スクロールします。ドットバイパーシリーズには珍しくMSX1用。背景はPCGでそれらしく描かれています。
 ただしMSX1用であるがため、ステージは8ドットスクロール。本家MSX版「グラディウス」シリーズ同様カクカクです(おい)。さらにドットバイパーの移動も2ドット単位。そのおかげか妙なスピード感があります。
 ドットバイパーゲームはMSX2用が多いため、スムーズでない挙動はやけに新鮮ですが、微妙な避けができないこともあって、プレイはしづらいです(おい)。編集部ではこのプレイ感覚を「スピードと緊張感という生理的なインパクトで光っている」と評価していました。


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元祖ドットバイパーゲーム「驚きモアイ」
フォロワー「さらなんだ」「アフターリミッツ」「サラでうす」。
いずれもMSX2のグラフィックとページング機能を活用している。

「DON'T STOP」

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 今年はまじめに入力しているおかげで、例年よりプログラムの入力がやたら進んでます。というわけで今回もMファン89年6月号から「DON'T STOP」をご紹介。


 ジャンル名は不明ですが、コナミの「クレイジートレイン」や、ブローダーバンドの「ディアブロ」等々、軌道を入れ替えボールをゴールに導くゲームというのは古くからありました。当ブログでも以前「DIAMOND FIELD」なんてプログラムを紹介してますな。本作はそういった軌道入れ替えゲームに属する作品です*1


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 画面上には矢印付きのパネルが敷き詰められています。その上を転がるボールをゴールまで導きましょう。ボールは矢印の向きに従って進みます。外周やところどころにある落とし穴から転落したらアウトです。
 プレイヤーは任意のパネルの矢印の向きを変えられます。ボールがコースアウトしないよう、適宜矢印の向きを変えてやらねばなりません。面が進むほど落とし穴も増え、矢印の配列もイヤらしくなります。時間制限は各面60秒。ですので悠長に考えてもいられません。
 全20面でオールクリア。しかし1ミスすると即ゲームオーバーというなかなかに厳しい仕様なので、エンディングを見るのはなかなか大変です*2
 15パズルのようにパネルを入れ替えるという操作こそありませんが、コースを読むパズル要素と、先回りして素早く矢印を入れ替えるアクション要素を備えており、それらはまさに伝統的な軌道入れ替えゲームの特徴です。
 悪く言えば可もなく不可もなく。よく言えば地味ながらそつがない。突出したものはありませんが、良心的な作りでちゃんと遊べるのがファンダムらしいところです。


 この作品もかつて「ザ・リンクス」でダウンロードできたはずなんですが、当時荒井はDLしませんでした。その理由はやはり外観が地味だから。しかしファンダム作品は粒ぞろいで、目立たず地味でもきちんと遊べるものばかりです。こうした作品も多数掲載されていたことがMファンの凄いところであり、今なおその品質の高さには感心させられてしまいます。
 地味だからと取りこぼした作品は数多く、その発掘は現在の課題のひとつです。

*1:Mファンの掲載ページでは「チクタクバンバン」の挿絵が添えられてました。

*2:荒井は例によってリストを改造して拝んでやりました(おい)。