何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「HAPPY COIN」

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 本日もこないだ動作確認が終わったプログラムネタ。今回はベーマガ84年11月号から、高原保法さん作「HAPPY COIN」です。
 高原さんは拙サイトやブログで何度も採りあげているとおり、ログインの「ミッドナイトチェイス」シリーズや、「YAZ-ZIP」名義で各種ファンダム作品を送り出した伝説的投稿者。後にプロのゲーム制作者となり「トゥルーラブストーリー」を作ったことが知られています。本作はその高原さんのMSX初となるアクションゲームです。


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 一言で説明すれば、本作はコインを弾いて回転させるゲーム。「幸せのコイン」から閉じ込められた悪魔が逃げ出さないよう、コインを回し続けようという設定です。当時は突飛な設定のアクションゲームをしばしば見かけたものですが、それら作品に通じる「匂い」があります。


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 コインを回すには、指でっぽうで輪ゴムをぶつけます。ただしコインには回転方向があり、それと逆にゴムをぶつけると回転が弱まり、しまいには止まって倒れてしまいます。倒れると中から閉じ込められていた悪魔が現れてワンミス。ですので方向を見定めてよく狙うことが大切です。
 操作はカーソルキーの左右とスペースキーのみ。オールBASICながら操作性や動作速度は良好で、プログラムも基本的な命令のみで解りやすく組まれてあるのは、その後の高原作品同様です*1


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 コインは左右にふらふらと動くばかりか、気まぐれに回転方向を変えるため、狙って当てるにはコツが必要です*2。このコインの挙動がなかなかにイヤらしく、簡単すぎず難しすぎないよいバランスになってます。
 うまくゴムを当てると回転が速まり、最高速まで上げるとステージクリア。コインは速度によって泣き顔になったり笑顔になったりするほか、輪ゴムの当て方によって効果音が変わるので、これが目安になります。


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 コインを回す、というユニークなアイディアに加え、本作が優れているのは各種のボーナスフィーチャーです。コインが笑顔になると、緑の箱から各面1回だけ、妖精が飛び出しますので、これにゴムを当てるとボーナス点です。3匹集めるとスペシャルボーナスなんですが、集めた妖精の色によって得点が変わったりエクステンドしたりと得られるものが変わるというのが、いかにも当時のアクションゲームぽくてなかなか凝ってます。


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 コインから悪魔が現れたときも、タイミングよく輪ゴムを当てられれば退治したことになり、ミスを免除してもらえるほか、ボーナス獲得。これら各種ボーナスの存在が、ゲームを単調にしない良いアクセントとなってます。


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 永久パターン防止対策がない*3、ハイスコアが記録されない、開幕時に即ミスになる*4ことがよくある、といった点は気になりますが、全体として非常に良くまとまっており、他の高原作品同様に高品質な内容です。かのDr.Dも「アイディアがすばらしい。アイディアとゲーム性の両面で他作品を圧倒している」と絶賛し、月間最優秀作品に輝いています。

*1:高原さんと親交があった方によると、当時から高原さんはリストのわかりやすさにこだわっていたそうです。

*2:もっとも、「速度」は数値上のものなので、画面に表示されるコインの回転速度や移動速度には反映されません。速くなるほど当てづらくなるということがない親切仕様(おい)。

*3:実はボーナスを狙うよりも、コインが倒れないよう適当に輪ゴムを当て続ける方が得点が稼げてしまいます。

*4:コインが緑の箱にぶつかると、勢いよく画面外に飛ばされワンミスとなります。飛ばされているコインに輪ゴムを当てればリカバーできるのですが、開始時の配置が悪いと、なすすべもなく即飛ばされてしまうのです。