何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「魔宮の神話」

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また一本プログラムを打ち終わったのでご紹介。今回はポプコム85年8月号掲載「魔宮の神話」です。
ポプコムプログラムコーナー初のRPGという触れ込みで、3人パーティ制という本格志向。「ザ・ブラックオニキス」「ハイドライド」「ドラゴンスレイヤー」の登場が前年のことで、「ザナドゥ」「ハイドライドII」はまだ発売されてません。当時はまだまだ和製RPG黎明期。打ち込みプログラムのRPGは珍しい存在だったものと思われます。


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目的は人類を救う秘宝「火の真珠」を魔宮から持ち帰ること。この魔宮こそゲームの舞台で、だから「魔宮の神話」というわけです。シンプルなタイトルがカッコイイです。ちなみに紹介ページの扉イラストを描いているのは前村教綱画伯。今からすればすごい大御所です。


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本作はいちおうパーティ制のRPGなのですが、「ウィザードリィ」や「ドラクエII」とはかなり違います。
敵と遭遇したらパーティの誰が戦うかを決め、タイマン勝負で決着を付けます。3人で1体を袋だたきにするといった戦い方はできません。レベルの概念もなく、勝てば勝利したキャラクターの能力値が少しづつ上がります。
敵は倒すのに必要な能力値の量が決められており、足りていない限り倒せません。パーティの面々はそれぞれ能力値が大きく異なるため、敵に応じて誰をあてがうかの判断が重要です。


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さらに面白くしているのは、ダメージを回復できないというルールと、敵の総数が有限であること。勝っても負けても戦闘では一定のダメージが蓄積され、限度を超えるとゲームオーバーになります。回復できる機会はほとんどなし。さらに敵の総数と出現場所は全て決まっているため、無制限に成長させるということができません。
つまりこのゲームでは、限られた条件のもと、来るべき敵に対してパーティをどう成長させるか、いかにダメージを抑えつつ必要な水準まで能力値を高めるか、誰がどんな順番でどの敵と戦うのかという戦略が必要で、そこが醍醐味となっているのです。
「有限のリソースを使い方を考えるRPG」といえば「ザナドゥ」ですが、それに先駆けてこのようなルールを実現していたのは実に見事です。


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MSXのこの手のゲームには珍しく画面は全てスクリーン2のLINE&DRAWで描かれ、PCGを使っていません。そのかわり文字に色を付けたり、レイアウトを工夫するなどして、けっこう見栄えがするのもポイント高し。作中のメッセージが暗号化され、入力中にネタバレしないのも打ち込み派にはうれしい配慮です。オールBASICでリストがちょっと冗長なのが玉にキズですが、入力した分は十二分に楽しめる秀作でしょう。


ところでこの作品の制作者は、拙「何とか庵」でも紹介している「シークレットルーム」の作者さん。面白いのも大いに納得です。


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