何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「海底洞窟の秘宝」




もう一本プログラムを打ち終わったのでまたご紹介。
本日ご紹介するのは月刊マイコン87年4月号掲載「海底洞窟の秘宝」です。
作者は「宇宙の郵便屋ゲーム」「くらのすけ」と同じKimcoさん。
同氏はベーマガ誌上で「ぶっちぎりテクニック考」を連載するなど、
技巧派のプログラマーでしたが、その技術力の高さがよく表れた作品です。





題名どおり、本作は宝探しゲーム。
海底洞窟を歩き回り、隠された三つの財宝を全て船に持ち帰ることが目的です。
舞台となる洞窟は一人称視点の立体迷路として表示されるのですが、
最大の特徴は、ドット絵の拡縮により立体表現を実現しているところです。
つまり2Dのドット絵マップパーツを拡縮し、奥のものを小さく、
手前のものを大きく表示させることで奥行きを表現するという手法です。
アフターバーナー」や「ナイトストライカー」を思い出していただけばよいでしょう。
当時ならではの力業とも言える技法ですな(笑)
ポリゴンにはないダイナミックさが魅力で、臨場感はなかなかのもの。
特に敵のタコやカニが画面の奥から迫ってくる様は圧巻です。
速度の遅さこそ玉に瑕ですが、むしろMSX2でこれだけの処理をやって
ゲームとして成立させていることを賞賛すべきでしょう*1






ご本人は「アドベンチャーゲーム」と称していますが、
敵がセミリアルタイムに迷宮を徘徊し、シームレスに戦闘が繰り広げられるという点で、
むしろ内容はアクションゲームに近いです。
当時はようやく「ダンジョンマスター」が海外で発売されたばかりで、FPSという言葉もなかった頃。
その時代に限りなくFPSを指向したゲームをMSX2で作っていたという先進性には驚くより他ありません。

*1:tRの高速モードで走らせると快適に遊べるのでオススメ。