何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

結局はいかにノせるかです。

例えば、平安京を舞台とした陰陽師ものの小説で、キスやデートといった外来語を使ってはいけません。キスなら接吻、デートなら逢い引きと、その世界に合った言葉に直さないとダメです。ついうっかり、キスやデートなどといった言葉を使うと、舞台の雰囲気が台なしになります。また、西洋ファンタジーの世界で、『10円玉ほどの大きさの穴』『テレビのように遠くの映像を映しだす鏡』『火炎放射器のように杖から炎がほとばしった』などという表現を使うのはいずれもタブーです。10円玉ってなに? テレビってなに!? 火炎放射器って、なにぃぃいい!?と、読者はせっかく西洋ファンタジーの世界を楽しんでいたのに、現実に戻されて興ざめしてしまいますよ。

石森章太郎の「化粧師」や岡野玲子の「陰陽師」のように、
現代語を使っているにもかかわらず違和感がない例を目の当たりにすると、
変にこだわりすぎるのもどうだかなという気がします。
リアリティや整合性を追求してつまらなくなるよりは少々荒唐無稽でも面白い方がいいと思う荒井でした。
優れた筋書きは、精緻な「世界観」とやらを、はるかに凌駕するんですよ!