近々友人を案内することになったので、十部一峠の下見に行ってきました。
十部一峠は葉山西麓を越え、寒河江市と大蔵村を結ぶ峠です。
現在は日本最後のダート国道、国道458号線最大の山場として
その名を知られていますが、昔は峠下に永松・幸生の銅山を抱え、
銅山に通う人々が盛んに人々が行き交った道でもありました。
また舗装化が進んだという噂を聞き、ここしばらく現況が気になっていたのですが、
他の峠巡りを優先していたため、ようやく念願の現況確認とあいなりました。
十部一峠は何度となく訪れているのですが、
いつも大蔵側から訪ねていたので、今回は寒河江側から攻めてみました。
国道112号線から幸生に折れると、程なく葉山が目の前に大きく迫り、
これから山の中に入っていくのだという感がにわかに強くなります。
途中には「肘折温泉へようこそ」の看板もたっていたりしまして、
いかにもここが十部一峠のふもとであることを思い出させるのですが、
「こごば通って肘折さ行ぐ人は、あのダートでどんた事ば思うべが?」と、
不思議にもなるのでした。
峠はちょうど紅葉が始まったあたりで、山は黄色や赤に色づきだし、
路肩には落ち葉が重なっています。
葉っぱが落ち始めたおかげで峠道は少々見通しがよくなり、
大蔵側では新庄の盆地さえ望むことができました。
去年は通せんぼされていた永松林道も規制が解除されたようで、
この調子なら永松鉱山跡まで行けそうな気配です。
なじみの十部一峠ですが、秋に訪れたのは今回が初めてで、
しかも寒河江側から大蔵に抜けるのも初めてですから、
新鮮な気分で峠を楽しむことができました。
気になっていたダート区間は、寒河江側は案の定、ほとんど姿を消していましたが、
大蔵側は去年の夏行った時とほとんど変わりなく、妙に安心しました。
国道458号線の未舗装区間は、山形のみならず、日本の宝だとさえ思います。
大蔵村が「日本一美しい村」を謳うのであれば、その象徴の一つとして、
未舗装路のまま残していただきたいと切に願います。