何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

桃伝新作出ないのか

浦島太郎は、どう見ても理知的な人物とはいえない。まず、彼は海辺で子どもたちにいじめられているカメに出会う。そして、「こらこら、よしなさい」と子どもたちをたしなめ、カメをかばう。  これが現代なら、「深夜、渋谷の裏通りで、茶髪に鼻ピアスの若者たちがホームレスを取り囲む現場に遭遇した」といったところだろうか。あなたならどうするだろう? 警察に知らせなくては――そう考えるのが一般的だ。ひとりで間に割って入れば、自分がつるし上げられかねない。浦島太郎も、運が悪ければ悪ガキどもに逆襲されていたかもしれない。  次に、彼は「竜宮城に連れて行くから」とすすめられ、カメに乗って海に入っていく。だがふつうなら、そんなあやしいカメの背中にほいほい乗ったりはしない。第一、水中では呼吸もできないし、溺れ死ぬのがおちだ。  おかしな点はまだある。別れ間際に乙姫様から受け取る玉手箱だ。これが「けっして開けてはいけない」といういわくつきのもの。とはいえ、開けられない箱なんて貰っても、邪魔になるだけだ。「お気持ちはありがたいのですが、我が家は手狭ですし」とかなんとかいって断ればいいのに、浦島太郎は後生大事にそれを持って帰る。そして案の定、誘惑にかられて、ふたを開けてしまい、煙にまかれて白髪の老人となる。

そういや「桃太郎伝説」シリーズの浦島太郎は、
心優しい好青年として描かれていたなと思い出す。
ウラタロスだったら困るけど荒井でした。