何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「SYSTEM」

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 「落ち物パズル」というジャンルは、今やすっかりゲームの一大分野となった感があります。そのきっかけはなんと言っても「テトリス」でしょう。日本における「テトリス」の登場が1988年晩秋のこと。登場するやいなや、コンピューターゲーム界に一大旋風を巻き起こしたのは、皆さんご存じのとおりです。
 これに続けとばかり、世間には「迫り来る物体を一定のルールに従い整列し消していくゲーム」こと、後に「落ち物パズル」と総称されるゲームが次々に現れ、にわかに玉石混淆百花繚乱といった様相を呈します。
 その流行は当然自作ゲームにも及びました。ベーマガやMファンにも、数々の「落ち物」が掲載されたものです。今回ご紹介するファンダム作品「SYSTEM」は、Mファン89年7月号―「テトリス」ブームのまっただ中―に登場した落ち物パズルゲームです。

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待ちに待った数が来た! 高得点消しを決める達成感はたまらない。

 本作で消すのは、数字が書かれたブロックです。積み上げたブロックは「縦一列の総和の下一桁が0」、「横一行6個の総和の下一桁が0」「各列の総和の下一桁が全て同じ」になると消えます。こうしてブロックが限界以上に積み上がらないようにひたすら消していき、目標スコアに達すればゲームクリアとなります。一見ややこしそうですが、各行と列の和が常時表示されてますので直感的に理解できますし、遊んでみればルールはすんなり飲み込めます。
 落ちてくるブロックの数には限りがあります。安い手ばかりでは目標スコアに届きません。難しい消し方のほうが高得点なので、各列全て同じを狙いつつ、横一行消しを中心に組むのが、効率よく得点を稼ぐコツです。計算が苦手なら、STOPキーでポーズがかけられるので、じっくり考えながら遊ぶことも可能です(おい)。
 特筆すべきは「連鎖消し」をフィーチャーしているところでしょう。ブロックが消えた跡に落ち込んだブロックの和が、また消える条件を満たしていると、再びブロックが消えます。うまく積み込むのはもちろん、てきとうに積み上げてもけっこう連鎖が決まるので、気軽に大量消しのカタルシスが味わえます。

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目標達成でゲームクリア。できればエンドレスモードも欲しかったな。

 初めて落ちゲーに連鎖消しを持ち込んだ「コラムス」の登場が89年の春。それから何ヶ月と経っていない段階で、連鎖消しを実現した投稿プログラムは、非常に先取的と言えるでしょう。大量のブロックが次々と消える様は非常に気持ちが良く、ゲームの面白さが各段に増しています*1


 ルールのわかりやすさと、溜めて一気に消す気持ちよさ。落ち物ゲームの面白さとは、明快さと爽快さに集約されます。目新しさこそありませんが、その点本作には優れたものがあり、何度も遊びたくなる魅力を備えています。

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タイトル画面。コンフィグ完備で至れり尽くせり。

*1:連鎖が進むごとに得点に倍率がかかるなんてボーナスも欲しかったが、そうすると瞬く間に目標スコアに達してしまうだろうから、それは欲張りというものだろう。