何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

共感を呼ぶ

またまたその昔のお話で申し訳ない。
その昔、ある広告制作担当者の講演を聴いて非常に納得した言葉。
「いい広告とは、みんなそう思ってはいるけれども、
 なかなか口にはしづらいような感情を思い切って代弁してくれるものです。」


例えば数年前、サッポロビールが「Love Beer?」と
問いかける広告を打ち、大評判になったことがありました。
ビールの広告には、喉ごしがどうこう、泡立ちが云々、
素材があーたらこーたら他とは違うと喧伝するものが多いわけですが、
その中で単に、山崎務と豊川悦司が激しいバトルを繰り広げた後、
「ビール、好きだろう?」と問いかけただけの広告は、
「ビールを呑むのに理屈なんて必要ねぇ! この一杯が気持ちよく呑めりゃ最高なんだ!」という
くすぶった感情をくすぐり、大きな共感を呼んだわけです。
「世間じゃそうは言ってるけど、本当はこうなんじゃないの?」と。


人が快哉を叫ぶのは小手先だけの細工に終始した仕事ではなく、
小気味よく本質をえぐった仕事にこそなのです。