何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「バンク・パニック」

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万引きじゃないぞ。銀行強盗だ!(おい)
 「メタルギア」シリーズが「ステルスゲーム」の語を広めるはるか以前から、隠れることを旨とするゲームはプロアマの別なく、ぼちぼち登場していたようにおもいます。打ち込み派ゲーマーにはベーマガの名/迷作「万引き少年ゲーム」が最も有名でしょうか。
 そして「メタルギア」に先駆けること3年。我らがMSXにも「元祖ステルスゲーム」が出現していました(おい)。今回ご紹介するのは例によって「アクションゲーム38」収録作品から。「バンク・パニック」です。


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番号順に押し入ろう。77は仙台にあるぞ(出ません)
 一言で言えば本作は銀行強盗ゲームです。プレイヤーは強盗。画面内に建ち並ぶ銀行に押し入り、強盗を繰り返して廻ります。ただし銀行には1から24までの番号が振られてあり、この順番に従って強盗しなければなりません。順番を守らないと減点のペナルティあり。律儀ですな。


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物陰でパトカーをやりすごす。MSXの「元祖ステルスゲーム」?
 例によって街中にはパトカーが巡回しています。これに「見つかると」ミスです。
 ここがよくできているんですが、通常この手のゲームでは「接触」するとミスになるものです。ところが本作では「接触」するのではなく、パトカーから見える範囲に近づくとミスになります。ですのでプレイヤーはパトカーから逃げるのみならず、その目に付かないよう、建物の陰や入り口に身を潜めながら行動しなければなりません。このゲームシステムがまさにステルスゲームそのもので、本作を単なる追いかけゲームとはひと味異なるものにしています。


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ミスしてゲームオーバー。しかし唐突に終わる感が強い
 とはいえ他の収録作品同様、それ以外は粗だらけ(おい)。やられたときはいきなりスタート地点に戻されます。やられた!みたいな効果音もなければ*1、「OOPS!」といったメッセージも表示されないので、何が起こったかわからずとまどいます。全体的に「区切り」が判りづらいのはどうだかなぁとおもいます。
 それと銀行の軒数が多すぎて、中だるみを感じることも。キャラが小さくてチマチマしたり、操作性があまり良くないのもいただけないところです。銀行の数を減らしてその分キャラクターを大きくすれば、もっと感触が良くなるんでないかとおもいました*2


 ゲーム自体が荒削りなのは、飽くまでアイディアをラフスケッチしたようなゲームだから。問題は残るものの、やはりアイディアとその実装がよくできているので、今なお感心させられます。


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3年後に登場したご存じ「メタルギア」。MSX2発祥だ!

*1:いちおう効果音もあるんですが、小さくて短いので全然聞こえません。

*2:もっとも、MSXの解像度では難しいか?

またの名をイリーガスI

mi-mollet.com


 「迷宮内*1を跳んだり跳ねたりしながら鍵を見つけてお姫様を救う話なんだろ?」と反応したくなるのは荒井がMSXユーザーだからです(おい)。


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*1:もちろんぬるぬる動く

ふたご先生の「びじょとやじゅう」電子書籍版希望

togetter.com


 しばらく前、「昔話の絵本がこんなアニメ調になっていてけしからんとか言ってる奴がいる」といった具合にネットで炎上したことがあったようです。そこでふとかんがえました。イラストのタッチよりも、「アレンジ」と称して子供向けに要約やリライトをする過程で、ストーリーが原作からかけ離れてしまったり、物語の趣旨が別物になってしまうことの方こそが問題ではないのかと。


 いかに読みやすくわかりやすくとはいうものの、中にはリライト版を「オリジナルと同等のもの、準ずるもの」と捉える子供さんもいるでしょう。原作と同じものと信じこんで読んだら「あらすじが全然違ってた!」「内容が全く別!」とかいうことになったら。改変されて趣旨が変わってしまったものを果たして、オリジナルに準ずる物と見なせるのだろうか...などとかんがえたのですが、まぁ、かくいう荒井も世界名作劇場のハイジやトム・ソーヤーとかおもしろがって見て育ったからなぁ(汗)。

「スカイダイビング」


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たぶん遅筆堂とは関係ない(おい)
 きのうに続いて「アクションゲーム38」から。本日は「スカイダイビング」のご紹介です。
 目的は飛行機からパラシュートで降下し、リゾートアイランド「ひょうたん島」に無事着地すること。しかしひょうたん島は海上を浮遊している上、上空で吹き荒れる気流がパラシュートを押し流します。
 画面左側に並んだ不等号は風の状態を表します。向きが風向で、数が風の強さ。若干の軌道修正は可能ですが、風に応じて流されることを考慮して、飛行機から飛び降りるタイミングを決めるのが成功への第一歩です。


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「移植版SKYゲーム」。プロポシェNo.8に掲載された他機種のゲームが原作
 このゲーム、どこかで見たおぼえがあるなとおもったら、以前当ブログで紹介したファンダム作品「移植版SKYゲーム」(MSXファン・88年8月号掲載)にそっくりでした。ルールはもちろん、風の状態を不等号で表すところなどほぼ同じです。そっくりですが、発表時期は「スカイダイビング」の方が先のようです。
 ただし遊びやすさでは後発の「SKYゲーム」の方が優れています。「スカイダイビング」は目標が常に動いてる上小さいので、狙って着地するのが難しくなっています。さらにミスを重ねてゲームオーバーになっても、ゲームオーバーのメッセージを出すことなく、そのまま「Ok」のプロンプトを表示してプログラムを終了してしまいます。リトライしたければまたRUNしなければならず、作りの粗さが否めません。


 この投げっぱなしなかんじは「アクションゲーム38」の他の作品にも共通して見られます。再びRUNさせることなく、ゲームオーバー画面からリトライできるようにするだけでも、かなり印象は違ってくるようにおもわれます。

「放火魔」


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今だったら人生に絶望した就職氷河期世代が主人公なのかしら(おい)
 先日ネタにしたとおり、現在アスキーの「アクションゲーム38」収録作品をせっせと入力中です。というわけで本編のトップを飾るのは「放火魔」ゲームです(おい)。
 いきなり「放火魔」(苦笑)。二度の大学受験に失敗した浪人生が、その憂さ晴らしに幸福な家庭に火をつけて廻る、みたいなあらすじがあります。キャッチコピーは「放火はイケナイ!でも楽しい」。不謹慎ですなw


 さておき本作はそのとおり、家々に火を点けて廻るゲームです。起動すると画面に16軒の家が表示されます。その全てに放火してやりましょう(おい)。火を点けるには狙った家の前で少し待つ必要があります。
 それと同時に、ご町内を常時パトカーが巡回しています。これに捕まると当然アウト。パトカーはプレイヤーをつけまわしてきます。静止しているとその間にみるみる距離を詰められてしまいますので、うまく引きつけたり捲いてやるのが、安全に放火するコツです(たびたびおい)。


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あと一軒!しかしこの一軒が難しい。
 一見よくある追いかけアクションゲームですが、やってみるとさにあらず。それというのも本作は移動方式が独特なのです。
 通常、マイキャラはカーソルキーの上下左右に対応して、右を押せば右方向へ、上を押せば上へ...といった具合に動くものです。しかし本作では上下方向には自由に動けません。左右方向にはカーソルキーを押したとおりに動けますが、上下方向に動くには、左右端から画面外に出なければならないのです。
 画面外に出ると、プレイヤーは下の段の反対側の端から出てきます。最下段の端から外に出れば同様に最上段の反対側の端へ。少々頭がこんがらがりそうですが、このワープするような上下移動こそが本作の工夫です。プレイヤーはパトカーの捲き方や火を点ける手順を考えながら浪人生を動かさなければならず、そこに面白さが生まれています。リストは40行程度と短めながら、面が進むほどパトカーのスピードが増し、さらに面白くなるところも抜かりがありません。


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ステルスパトカー(違)。MSXのスプライト表示制限のせい
 本作は全てのキャラクターをスプライトで表示しています。そのためMSXのスプライト水平方向表示制限のせいで、パトカーが家の脇に来ると消えます(汗)。PCGを使うなりすれば簡単に解決できる問題なんですが、まぁ、簡単な命令文だけでアイディア重視のゲームを作ることが趣旨の作品ですから、ご愛敬ということにしときましょう(おい)。