何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「THE FIGHTER OF BALL」




 今回はわりに早々に動作確認が終わりました。しかしネタにするとあいかわらず遅れます(おい)。
 というわけで本日もMSXプログラムネタ。ベーマガ86年11月号より「THE FIGHTER OF BALL」です。

1面スタート。まずはSTOPキーを押してじっくり考えよう(おい)

 本作は固定画面アクションパズルゲームです。主人公は戦士です。悪い魔法使いによってボールに変えられ、牢屋に閉じ込められてしまいました。牢の中に落ちている鍵で出口を開き逃げ出しましょう。
 牢の中には鍵が4つ落ちています。押すと動かせます。出口を出現させる開には、全てのボックスに鍵を押し込まなければなりません。現れた出口にたどり着けばステージクリア。もちろん牢には番人「ヘンナカオー」がいて、これにぶつかるとワンミスです。

砂時計ゲット!
ここぞという時のため取っておくのがクレバーだ

 各面につき一つアイテムが手に入れられます。アイテムは2種類。しばらく敵を足止めできる砂時計と、残機が一つ増えるEボールです。アイテムのありかは毎回ランダムに変わり、どちらが手に入るかもランダムで決まります*1。ありかは表示されません*2。その場に行けば拾ったことになります。ただしそんなにマップが広くないので、見つけるのは容易でしょう。どちらを手に入れても有利になるので、しっかり集めていきましょう。

よくあったタイプのパズルではあるのだが…ゲームバランスが素晴らしい!

 …とまぁ、当時よくあったタイプのパズルゲームでして、Dr.Dも「アイディアはないに等しい」と、さらっとヒドいことを言ってます。
 確かに目新しさはありません。しかしその直後Drが「それなりにおもしろい」とフォローするように、ゲームとしてはなかなかいいものがあります。それというのも、本作はゲームバランスが極めて適切なのです。

敵の捲き方を考えなければクリアは遠い。さじ加減が見事!

 パズル自体の難易度は、配置をよく見て少し考えれば解ける程度。ヘンナカオーは単純に座標を合わせてこようとするだけ。どちらも単体ならば、それほど難しいことはありません。
 本作の妙味は、この二つを同時にやるところにあります。敵の動きは非常に読みやすく、自機の動かし方次第で思うように誘導できます。この習性を利用すれば、地形に引っかけて足止めしたり、袋小路に閉じ込めたりすることが可能です。脱出には、鍵の動かし方を考えるのはもちろん、敵をあしらうキー捌きと、どこで足止めするかを見極める洞察力も必要です。いわば敵のいなし方も含めてパズルが成り立っているのです。鍵をどういう順番で動かして、敵をどう捲くかをかんがえるのがおもしろいです。

近くにいるのに追ってこない…
そんなときは間にアイテムが落ちているということでもある。

 各面、パズルとアクションをほどよく両立させた良ステージが揃っています。いずれもちょっと頑張れば解けるという絶妙な難易度。パズルとアクションの取り合わせの妙が楽しめます。

最終面。これだけ砂時計があれば楽勝だ!

 出来はなかなか悪くないんですが、作りは素っ気ないです。全8面の永久ループで、エンディングやクリアデモの類いはありません*3。また、若干の操作性の悪さは少々不満。
 とはいえそれらを考慮しても、出来が良いのは確か。突出したものこそないけれど、なかなか良質で楽しく遊べる作品です。

*1:80%の確率で砂時計の方が多いです。

*2:拾う前のアイテムは見えなくともオブジェクト扱いなので、敵はここを通過できません。これを知っておくと、アイテム探しに役立てることができます。

*3:いちおうストーリーにて「この牢を抜けても地上とは限らない」と、永久ループであることをほのめかしてはいます