何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「うすのろまぬけ」

タイトル画面。なんと観戦モード付き

 今年は手持ちのポプコムプログラムをすっかり入力するつもりで打ち込みを進めてました。その結果残るはこれが最後となりました。というわけで本日ご紹介するのは手持ちのポプコムプログラム最後の一本「うすのろまぬけ」。88年11月号掲載です*1


 本作は「うすのろ」「うすのろばかまぬけ」等の名前で知られるカードゲームをMSXで再現したものです。作者は先日の「ダウト」と同じ方。そのため記事では「MSXカードゲーム第2弾」の触れ込みが与えられています。そういやポプコムに掲載されたMSX用カードゲームプログラムは、荒井の知る限り「ダウト」とこれしかなかったような気がします。例によって「うすのろ」のルール説明はWikipediaを引用しときます(おい)。


ja.wikipedia.org


 このMSX版は「うすのろまぬけ」の文字が揃ってしまったら負けです。つまり誰かが7敗するまでゲームが続きます。チップを奪取するタイミングも、カードが揃った瞬間ではありません。カードの受け渡しが終わり次第各プレイヤーがチップの前に手を添えて、合図があるまで待つ、というワンクッションが挟まれています。この「待て」の動作を入れるという、ゲームを遊びやすくする工夫が絶妙です。
 人数は「ダウト」同様1人専用。プレイヤーはMSXが担当するCOMプレイヤー3人と競い合います。やはりグラフィックは丁寧に描かれ至って良好。特に専用の絵札を用意したのは、ゲームをよりわかりやすくする好アレンジ。開始時に難易度を選べるのも嬉しい配慮です。

カード交換中。実際に「手」を動かして操作するのが新鮮!

 「うすのろ」の特徴は、咄嗟の判断力と素早さが求められること。いわば高いアクション要素を備えているところです。このMSX版では、隣のプレイヤーとのカードの受け渡しやチップの奪取を、実際に「手」の形をしたカーソルを動かしてやることで、そのアクション性を再現。スムーズかつスピーディな操作が勝利の鍵です。
 おもえば「百人一首」や「ブタのしっぽ」等々、素早さを競うカードゲームは数あります。にもかかわらず、それをコンピューターゲーム化したものは、当時ほとんど例がなかったような気がします。アクション的なカードゲームのコンピューターゲーム化という、ありそうでなかなかないアイディアに、大いに膝を打ちました。

チップゲット!判断力と瞬発力が試される

 ただし。それら良さを打ち消してしまうほど、操作性が悪いです。動作は重いしキー反応も遅いです。勝つためにはスムーズかつスピーディな操作が必要なのに、おもいどおりに「手」が動いてくれないのは、ストレスが溜まります。アクション要素のあるカードゲームというアイディアと丁寧なグラフィックが素晴らしいだけに、この操作性の悪さがつくづく惜しまれます。せっかくのアイディアが台無しだぜ(泣)。
 また、ゲームバランスも良くはありません。チップの置き場所の都合で、COM-2が極端に弱いです。ゲーム自体はプレイヤーがそれなりに勝てる難易度なので、負けすぎてやる気が失せるということはないのですが、COM-1と3が有利すぎて、実質COM-2と自分の対戦になってしまってます。特定のプレイヤーが極端に不利というバランスは、やはり対戦ゲームとして難ありと言わざるを得ません。これら問題点は編集部の寸評でも指摘されていました。

一巡終了。操作性とバランスの悪さが惜しまれる。

 無視できない問題点こそ目立つものの、アクションを取り込んだコンピューターカードゲームというものをあまり見たことがないので、プレイ感覚はなかなか新鮮でした。
 本作はとにかく着眼点が良いです。操作性を改善するだけでも、かなり良いものになる感触があります。「アクション要素のあるコンピューターカードゲーム」という、当時類を見なかった挑戦をした作者さんに、今さらながら賞賛の言葉を贈ります。

*1:ちなみにポプコムにプログラムリストが載った作品としてはほぼ最後期のものにあたります。この次の号に載った「Rock'n Roller」をもって、同誌はリスト掲載を終了します。