
歳末追い込みシリーズ。本日はベーマガ85年3月号より「まさるくんパッチしよー」です。
それにしても秀逸な題名です。「パッチ」とはメンコのこと。ワッペン大の厚紙を打ち合って、ひっくり返したり張り飛ばしたりして勝敗を決めるという遊びですな。ですのでわかりやすく「メンコ遊び」とかそういう題名でもよさそうなものなのに、あえて「パッチしよー」。どういうゲームなんだ!と注目してしまいます。

さっそくオトシを決められる
というわけで本作はメンコ遊びのゲームです。勝負が始まると、画面上部のパワーメーターの上にインジケーターが現れ左右に移動します。てきとうなところでスペースキーを押してメンコを投擲しましょう。
決まり手は3つです。相手のメンコをひっくり返す「カエシ」、場外に落とす「オトシ」、相手のメンコの下に潜り込む「サシ」。どの技が出るかは、メンコを打つパワーによって変わります。技が決まれば相手のメンコを1枚もらった上で、続けてもう1回メンコが打てます。失敗したらまさるくんの番。まさるくんも同様に攻撃してきます。こんな具合に交互にメンコを打ち合い、相手のメンコをすっかり巻き上げた方が勝ちです。

メンコを打つときは腕がアニメする!
まずはグラフィックが素晴らしいです。LINE&PAINTで描かれたつよし&まさるくんは、まさに古き良きMSXならでは。アスキー文字で描かれる表情も、とぼけた味があって非常によろしい。そればかりかメンコを打つときには、腕が一応アニメーションしてしまいます。やけに細かいメンコのスプライトや空に浮かぶ夕日も心憎く、ジングルとして流れるのは調子外れの「赤とんぼ」と「とんぼのめがね」。とにかく雰囲気が抜群です。
操作も至って簡単。使うキーはスペースキーだけです。タイミングを計ってスペースキーを押せばゲームが進むので、テンポはすこぶる良好。メンコを張り合う勢いの良さを彷彿させます。かのDr.Dも「チェッカーフラグ」で「こういう作品が大好きなんだ!」と賞賛していました。

ただし。勝負はほぼ乱数で決まります。実はパワーメーターは、何の技を出すかの判定にしか使われていません。スペースキーを押したときのパワーの値に応じて、3種の技のどれを出すかを決めているだけです。高ければ「カエシ」、低ければ「サシ」。中ぐらいなら「オトシ」。出す技が決まったら乱数を比較して、一定の割合で成否が決まるといったあんばいです。この乱数は、まさるくんにも同じものが適用されます。ですので勝つときはするすると勝てたりしますが、負けるときはあっという間ということがよくあります。

実は本作には、プレイヤーの腕で勝てる要素があまりありません。あえて言うなら、三つの技の中では「オトシ」の成功率が最も高いため*1、それを狙って中程度のパワーでメンコを打ち続けるのが、最も有効な策ということにはなるでしょうか。
抽選を演出で楽しくもっともらしく見せる、という点では現在のパチンコに通じるものがあるかもしれません。作品の方向としては、以前紹介した同じ昔遊びゲームの「ベーゴマ」よりも、「うるとらべえごま」に近いものを感じました。畢竟乱数次第という仕掛けがわかってしまうと、ちょっと物足りなくなります。

腕で勝てる要素はぜひ欲しかったな
メンコはフィジカルかつ技術を要する遊びだとおもいます。作者さんは「プログラムは簡単にした」とコメントしてますが、欲を言えば、もっと腕前で勝てるような工夫をしてもよかったとおもいます。たとえば最大パワーでメンコを打てば必ず技が決まるとか、パワーの他にも狙う場所を指定できるようにして、打った場所によって成功率が上下するといった具合に。メンコ遊びのノスタルジーや雰囲気を楽しむだけなら今のままでも十分ですが、それだけに留めるには惜しいです。
*1:「カエシ」の成功率が25%、「サシ」が35%であるのに対し、「オトシ」は45%と他より高い。