GR III。PhotoShop Elementsで縮小
登ってきた山の話その2。泉ヶ岳に登った3日後の休みの日、やはり天気に恵まれそうだというので、米沢の一念峰に登ってきました。こちらも前々から気になっていたのに、後回しになっていたところでした。
一念峰は米沢市の北東、高畠町にほど近い上海上(かみかいしょう)地区にある山です。標高は470m。低山ながら険しい岩場があることで知られており、「やまがた百名山」でも、技術的難易度は「C」と評価されています。なんと鳥海山や摩耶山の中尾根コースと同等だぜ。
もっとも、気になっていた割に後回しになっていた理由は難易度ではありません。この山「インスタ映え」する山として有名で、山の規模に比してけっこうな数の人が出入りしているらしいのに恐れをなし、なかなか足が向かなかったのです(おい)。
最近やまがた百名山のフォトコンテストでもあんまり見かけないし、平日だしそろそろほとぼりも冷めただろうかと登山口に行ってみると、駐車場が埋まりかけてます。全然冷めていなかったぜ(汗)
ともかくかろうじて残っていたスペースに車を駐め、登山開始です。
山は仏教の霊場として発達したようです。山寺の開祖・慈覚大師が当地を訪れ、立石寺を開くまでの一年間、ここで修行したという伝説が、山の名の由来です。かつてふもとには寺院があり、石灯籠や旧いお堂の跡が残っています。
登るうち、あたりには巨岩奇岩が目立ってきます。伝説によれば、この険しさに魅せられて、慈覚大師はここに霊場を築いたのだとか。確かにあたりの雰囲気は、どことなく山寺や垂水霊境を彷彿させます。
さらに上の方、稜線に上がれば、噂の岩場が現れます。あちこちにある岩には「屏風岩」「ビッキ岩」「天狗の相撲取り場」といった名前があり、それぞれに名札が取り付けてあります。
道はこれら岩の間を縫うように続いていています。方向を示す標識は設置されていますが、気を付けていないと道を誤りあらぬところに誘い込まれます。きわどい崖っぷちはそこかしこ。はしご場や鎖場、高低差のある岩を越える箇所もいくつかあって気が抜けません。さすが技術的難易度C判定だけのことはあります。
最も険しいところは、最後に現れます。「紙飛ばし岩」の狭い切れ込みを這いつくばって進んだ後、「地獄岩」こと足場のよくない大岩を越えると、「天狗岩」の急な鎖場が待ち受けます。ここを登り切れば、待望の山頂です。
山頂には標柱や三角点というものはなく、ずいぶんあっさりしています。そのかわり、置賜盆地のすばらしい展望が開けます。西には米沢の街が広がり、北に見えるのは南陽と高畠。その背後には尖った祝瓶山が突き出す朝日連峰に飯豊連峰、南の吾妻連峰から駒ヶ岳に鳩峰峠といった、置賜盆地を取り囲む山並みがぐるりと見渡せます。
平らな岩場に腰を据えて絶景を眺めつつ、ふもとで仕入れてきたフォカッチャサンドを平らげたところで下山開始。これまで越えてきた難所の数々を、今度は引き返すことになるわけですが、登りよりも下りの方が油断ができません(汗)。
山中には、コースから外れたところにも奇岩が点在しています。時にコースから逸れ、往路で見ていなかった奇岩の数々を見物しつつ、来た道を用心しながら引き返し、再び駐車場に戻ってきたのは、登りはじめて1時間半少々経った頃でした。ゆっくり過ごしても意外に時間が経ってません。
コンパクトな低山ながら、歴史に裏打ちされたこの険しさとこの展望。一念峰には凝縮されたおもしろさがあります。なるほど、やまがた百名山入りして然るべき山だなとその理由を知ったのでありました。
コースタイム。実は今回、邪魔になるのであえてザックは持っていかなかった(おい)
10:24/駐車場-10:32/石灯籠-10:36/地蔵岩-10:41/雲岩・機織岩-10:52/梯子岩-10:57/紙飛ばし岩-10:59/天狗岩-11:00-11:21/山頂-11:28/天狗の相撲取岩-11:30/合掌岩-11:36/畳岩-11:37/梯子岩-11:45/機織岩・雲岩-11:51/地蔵岩-11:55/石灯籠-12:03/駐車場