何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

荒倉山に登ってきた

熊野長峰から見る荒倉山。高館山のとなりです。

GR III。Photoshop Elementsで縮小


 早春の好天逃すまじと、荒倉山に登ってきました。荒倉山は鶴岡は由良と油戸の間、海沿いにある山です。標高約307メートル。低いながら、古くは西の羽黒と呼ばれたほど栄えた時代もあったといいます。
 実はこの山も、例によって前々から登ってみたいとおもっていた山でした。そのための下見もやってはいたのですが、微妙にとりつきづらい上、近隣の熊の目撃例の多さにおののき後回しに(おい)。
 しかし今は早春です。熊もまだ寝ているだろうと踏み、今なら行けると決行したのでありました。

油戸公衆便所。このあたりに車が置けます

 山には様々なルートがあります。今回は以前下見した竹ノ浦や山口からのコースではなく、油戸から登ることにしました。去年暮れのいたましい土砂崩れ災害で、取り付きに至る県道が一部通行止めになっているのと、駐車場のわかりやすさを考慮した選択です。

中田砂防ダムを脇目に登山口に入ります。

 油戸の公衆トイレのあるあたりに車を置き、油戸川の左岸を歩いて行くと、廃墟のあるあたりから砂防ダムが見えてきます。近年できたらしい新しい砂防ダム前を通過し、その奥にある中田砂防ダムの脇が登山口です。







 歩いてみてびっくりしました。道がやたら良いです。幅は広く明瞭で、要所要所に標識も立ち、気をつけていれば迷うことはなさそうです。登山道はおおむねゆるやかでブナ林の中を通ります。この標高でこれだけブナが生えていることも驚きです。新緑の前なので見通しはまずまず。木々の枝越しに油戸の集落や日本海が眺められました。すでに登山道に雪はなく、ところどころに顔を覗かせるフキノトウ*1キクザキイチゲをめでつつ、30分ほどの気持ちよい山歩きで山頂に到着です。






 山頂はブナに囲まれた広場です。夏になって葉が茂ったら、眺めは期待できなさそうです。そのかわり直下に林の切れたところがあって、そこから真正面に鳥海山が見渡せます。手前のアンテナがいっぱいある山は高館山。二つの山がこんな風に並ぶ風景を見ることはなかなかないので新鮮です。





 荒倉神社の近くまで行ってみようと、山頂を出たところで東側に下ります。登山道は急な下りの先で車道に合流していました。この車道も以前下見した際、少し通ったところ。中腹の荒倉神社までつながっています。あたりには近隣の小学生が植えた桜の木や、作家横光利一ゆかりの「チロルの道」があったりします*2

荒倉神社。画像はギンナンくさい頃の使い回し(おい)
新しいとはおもってたが2015年に建て替えられていた。

 山の東側はわりに拓けた印象で、なるほど、これが西羽黒の名残なのかと納得するものがあります。その最大のものが荒倉神社なのですが、今回は微妙に時間が足りなそうだったので、登山道から遙拝するだけにしときました(おい)。

登山道の風物。クリーチャーみたいなブナと立木越しに見る油戸とか

 その後来た道を引き返し、迷うことなく油戸へ帰還。公衆便所の脇に駐めといた車に戻り、山を後にしたのでありました。
 里に近い低山に登るなら早春か晩秋です。虫も暑さとも無縁で、葉っぱも茂っていないから眺めも悪くありません。今のうちにいくつか里山に登って足を慣らしておこうとおもいます。
 最後にコースタイム。道は概してゆるやかながら、海のすぐそばから歩いて行くので、高低差はわりとあります。


10:52/油戸登山口-10:53/階段-11:19/荒倉神社分岐-11:22-25/山頂-11:27/鳥海山展望地-11:29/荒倉神社分岐-11:38/荒蔵林道-11:41/「チロルの道」碑-11:56/荒倉神社分岐-12:19/階段-12:21/油戸登山口

けっこう熊の目撃例がある山なので気をつけましょう

*1:山形県民としてはバッケと呼びたい。

*2:太平洋戦争終戦間際の一時期、鶴岡出身の奥方の縁で、荒倉山のふもとに疎開していたそうです。