何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「36」

作者さんの名前が1面です

 ファンダム作品が一段落したので、久々にベーマガプログラム。本日はベーマガ89年6月号掲載「36」です。
 作者はかのトコちゃんシリーズの作者さん。それで本作の主人公はトコちゃんです。どうやらこちらもトコちゃんシリーズのようです。

壁を壊して鍵を集めよう。動かない壁が目安だ。

 トコちゃんを操作し、部屋に隠された鍵を三つ集め、扉から脱出しましょう。部屋の壁は押して動かせるほか、トコちゃんが連れ回している砲台で撃つと壊せます。砲台は斜め方向への発射が可能。静止した後、撃つ方向をカーソルキーで指定しながら、スペースキーで発砲です。撃つには弾薬が必要なため、無駄撃ちは控えましょう。
 壁の中には動かせないものがあります。ここにはアイテムなどが隠されています。アイテムは弾薬、脱出に必要な鍵、扉。中には落ちるとやられる落とし穴もあるので要注意です。めくらめっぽうに壁を動かしまくると、どれが動かない壁か―すなわちアイテムのありかが―わかりづらくなってしまいます。どの壁に手を付けていないかの記憶力も試されます。

敵に弾を当てると足止めできる。重要なテクニック。

 部屋にはクラゲのような黄色い敵がいます。これにぶつかってもワンミスです。砲弾を当てると一定時間動きが止まります。止まっている隙にブロックで閉じ込めるなどしてうまく足止めするのがクリアのコツです。
 トコちゃんは残機制ですが、それとは別にHPが設定されています。HPは経時で減少し、タイマーのような役割をしています。これが0になってもミスですので、うかうかしてもいられません。
 壁を壊し、鍵を三つ集めて扉に行けば面クリアです。部屋は全部で36。脱出すると全体の見取り図が現れ、次に進む部屋を選べるのはおもしろい趣向です。部屋の難易度は様々。簡単なルートを探すのも良ければ、あえて難しいルートに挑むのもありです。かくして次々と部屋をクリアして、一番右下の部屋にたどり着けばオールクリアとなります。部屋の数は全部で36。これが題名のゆえんでしょう。

クリアすると次の面を選べる。ルートによって難易度が変わる。

 ゲーム自体はさすがトコちゃんシリーズの作者さん。若干の操作性の悪さは気になるものの、なかなか楽しめます。壁を壊したり敵から逃げるアクション要素もあれば、効率よく壁を動かしたり敵のはめ方を考えたり、壁の位置を記憶しておくパズル要素もあります。砲台の打ち方がよくわからず最初こそ少し戸惑いましたが、打ち方や敵を足止めできることがわかると、俄然面白くなってきます。各面にはデザインに沿った名前が付けられてあり、どんな面があるのか確かめたくなる楽しさもあります。
 同じ面でも鍵や扉の位置はランダムで、毎回変わります。攻略法のパターン化よりも、臨機応変なプレイが求められるゲームと捉えるべきでしょう。

「コザカイ」。
個性的な面揃いだが、それだけでは物足りないのも確か。

 こんなふうにゲームシステムは悪くないのですが、遊んでいると物足りなさも感じます。36面*1もあるのに、各面やることが大きく変わらないので、面が進むと口飽きしてきます。どのルートを選んでも展開が変わるわけでもないので、せっかくのステージセレクトシステムも有効に活かせていない感があります。「源平討魔伝」のように、どこかの面に隠されたアイテムがなければクリアできないとか、その後の展開が楽になる回復アイテムや強化アイテムなどが見つけられるといった、ゲーム展開に変化を付けるようなフィーチャーが欲しかったところです。あと長丁場のゲームなので、コンティニュー機能はぜひ欲しかった(泣)。
 ゲームシステムは完成しています。あとは36面を遊ばせ切る構成や仕掛けさえあれば。もっと作り込めば間違いなくもっともっと面白くなったのに!という惜しさを感じる作品です。

*1:厳密には35面