GR III。PhotoShop Elementsで縮小
というわけで花渕山に登ってきました。花渕山は宮城県の大崎市、旧鳴子町にある山です。というか鳴子温泉からいちばんよく見える山(おい)。国道47号前を走っていると、江合川を挟んで鳴子温泉の目の前に据わってるのがよく見えます。
実はこの山、一等三角点を頂いています。コースを確認すると山頂まで片道2時間ほど。夕方から雨の天気予報が出ている中、ここなら比較的短時間で登ってこられそうだぞと、天気のすき間を突いて行ってくることにしたのでありました。
山頂へは、かつて存在した鳴子スキー場ふもとのレストハウス「なるびっく」廃墟付近から登っていきます。地形図ではそのそばから伸びる道が表記されているにもかかわらず、これが見つかりません(おい)。これはおかしいと探すことしばらく、中山越遊歩道のもみじ橋を渡った先で「登山口」の看板を発見。ようやく取り付くことができました。
この時点でそうだろうなと気付きましたが、地形図*1に記されている登山道は、実際の登山道と全然違います。うちに帰って「電子国土」で登山道を確かめてみたら、こちらの方は荒井が歩いたとおりに道が記されてました。
登山口からはわりとハードな道が続きます。土で滑りやすそうな区間を過ぎたかとおもえば急登です。狭いは土っぽくてグリップが効かないはで、鳥海山のあざみ坂よりきついです(おい)。急登を登り切ったところにかつてのスキー場の看板が残っているので見てみれば「この先鳴子の壁。最大斜度38度」となん。どうやらこのあたりは有名な急斜面コースだったようで、なるほど、急なのも当然です。全行程を通じて、登山口からここまでがいちばん大変でした。
難所を過ぎてしまえば、あとは歩きやすい道に変わります。ブナ林の中の広くてなだらかな道をどんどんと進めば、やがて稜線上に立つロープウェイ山頂駅に着きます。このコースで最も展望が開ける地点らしいのですが、そろそろ怪しくなってきた空模様ゆえ、ほぼ素通りします(おい)。
ここから道はまたしばらくブナ林の中に入ります。途中にあるはずの名所・雄沼は、あたりが微妙にヤブっているおかげか、登山道からよく見えません。ブナ林を抜けてもうひと登りして、無線の反射板が見えてきたら、間もなく待望の山頂です。
山頂付近は広葉樹林です。その林を少し切り拓いたところに無人の気象観測施設が建ち、その足元にお目当ての一等三角点が埋設されてあります。あたりは林なので、一等三角点なのに見通しはありません。
花渕山は傑出して眺めがいいという山ではありませんが、そのかわり、見事なブナ林に恵まれています。もう少ししたら真っ黄色に紅葉することでしょう。新緑の時期にまた訪れたくなりました。
山頂からはさらに大柴山を経て、鬼首方面に抜けることもできます。しかし今回の目的は飽くまで花渕山。一等三角点を拝んで満足したところで来た道を引き返し、本降りになる前に無事下りてきたのでありました。
やたら印象に残るのは、コース全体にわたって点在するスキー場の遺構です。廃墟はあちこちで見かけますし、山頂付近に至るまで、崩れたリフト施設が点在しています。
鳴子スキー場は、上級者向けの難コースとしてその名を知られていたようです。しかしバブル崩壊によるスキーブームの終焉にともない失速、20世紀に入って間もなく閉鎖となりました。
江合川と併走する国道47号線のあたりから見上げると、山の上に山頂駅やリフトの残骸が立っているのがはっきりと認められます。稜線のあたりを削ったように細長く森が消えているところはかつてのゲレンデ。往時には通年でリフトが稼働し、らくらくと山頂まで行けたようです。
現在の登山道は、スキー場のこれら廃墟をつなぐように伸びています。荒井の地形図に乗っている旧い登山道は、かつてのゲレンデを登っていく道だったようです。
バブル時代には、この山に人が押し寄せたこともあったのでしょう。スキー場は着々と自然に埋もれつつあります。
例によってコースタイムは以下のとおり。下山後も時間に大幅に余裕があったから、鳴子温泉で一風呂浴びて昼餉を摂って、さらに潟沼まで見物に行けたぜ。
9:22/なるびっく前-9:28/もみじ橋-9:31/登山口-10:04/鳴子の壁看板-10:15/ブナ林-10:34/山頂駅跡-11:13/反射板-11:23-11:27/山頂-11:30/反射板-11:52/雄沼-12:07/山頂駅跡-12:20/ブナ林-12:35/鳴子の壁看板-12:58/登山口-13:02/もみじ橋-13:08/なるびっく前