何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「OUT-VADER」




 タイトーの「スペースインベーダー」は、コンピューターゲーム古典中の古典です。その後様々なフォロワーやアレンジ版が登場したことが、その存在の大きさを物語っています。本日ご紹介するMファン91年1月号掲載「OUT-VADER」(アウトベーダー)も、そんなインベーダーフォロワーと言ってよいのかもしれませんが…数あるインベーダー風ゲームとはかなり趣を異にしています。


 本作では湯気が立ち上るがごとく、下から上に向けてふらふらと敵が昇っていきます。自機である砲台「おデコ」を動かし、こいつらを下からことごとく追撃してやりましょう。おデコの武器は「モロトモミサイル」。炸裂すると巨大な爆風が発生し、巻き込まれた敵はひとたまりもなくやられます。しかしこの爆風は諸刃の剣で、おデコ砲台が巻き込まると、自分もやられてしまいます。1匹でも敵を逃せばゲームオーバー。それまでに倒した数が得点です。当然敵と衝突してもアウトです。

一匹漏らさず撃墜しよう。モロトモミサイルとはよく言ったもの。

 通常、インベーダーゲームは上から敵が攻めてきます。それとはあべこべに、下から上に逃げていく敵を撃つようにしたのがまずは大きく違います。あべこべだから「イン」ベーダーではなく「アウト」ベーダーというシャレですな*1
 そして何より秀逸なのは全てをぶっ飛ばすモロトモミサイル。打ち上げ花火のように派手に爆発する様はインパクト抜群で、類似のゲームとの大きな違いになっているばかりか、爽快感やおもしろさがいや増しになっています。
 実は当たり判定があるのは爆風のみで、ミサイル自体にはありません。スペースキーを押すと発射して、離した瞬間に炸裂します。つまり任意に起爆のタイミングを図れます。というか起爆しない限り攻撃できません。
 基本、敵は低い位置で撃墜した方が狙いやすい一方、そうすると自機に近い位置で炸裂させることになり、自分が巻き込まれてやられる可能性が上がるとか、逆に上の方で炸裂すると安全に攻撃できるものの取り逃す可能性が上がってしまうというジレンマになっているところもニクいです。

ゲームオーバーで結果発表。ハイスコアを目指そう

 少々欲を言えば、ボーナス要素がないことが残念です。せっかく一網打尽の攻撃ができるのだから、同時に複数の敵を倒すと得点が倍になるとか、逃げる寸前に撃墜すると高得点とか、そういった稼ぎを熱くするフィーチャーがあれば、もっと面白くなったのでは、とおもいます。


 ところでこのモロトモミサイル、似たものをどこかで見たようなおぼえがあるなぁとおもったら、「アレスタ2」のグラブボンバーでした(おい)*2

「アレスタ2」のグラブボンバー。前方に強力な爆弾を発射する。
稼ぎに欠かせないぜ。

 

*1:invaderは「侵略者」という意味の英語ですが、対して「outvade」や「outvader」という単語はないようです。

*2:発売時期は「アレスタ2」の方が先です。