何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「森の家」

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 先日ご紹介した「ICE CARRIER」の動作確認が長引いたため、実はその間にもう一本、プログラムを入力しおえていました。というわけで今回紹介するのはまたもや電波の「MSXプログラム大全集」収録のアクションゲーム「森の家」でございます。
 作者は当ブログでも何度か紹介しているたかしくん氏。個性的な作品を数々発表していますが、本作はその中でも特に独特で個性的な作品です。


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 ゲームをはじめるにあたり、まずは難易度と残り時間を決めます。難易度を三段階から選べるのはよくある方式ですが、残り時間はルーレット式に、変動する数字をスペースキーで止めて決めまして、ここからもう風変わりな印象が漂います。
 ところでスクリーンショットの「*」は単なる打ち込みミスなので気にしないように(おい)。


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 目的をひとことで表せば「木を倒して橋を架け、家に帰ること」。しかしそこはたかしくん氏、そうかんたんに帰らせてくれるはずがありません。
 主人公「えっちゃん」を家まで連れて行けばゲームクリアです。しかし広い島の真ん中にあるやつではありません。画面右のステータス欄みたいなところに表示されているのがえっちゃんの帰るべき家でして、実はステータス欄のように見えるところも、移動可能なフィールドマップの一部だったりするのです...まぁ分かりづれぇ!
 とにかく広い島と右のステータス欄は水路に隔てられているため、橋を架けなければ渡れません*1


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 橋を架けるためには木を倒すのですが、倒した木で橋を作るというものではありません。
 木を倒すと跡地が池になります。しばらくえっちゃんを動かさずにいますと、池に白いペリカンが現れ池を埋めてくれるので、これを利用するのです。
 水色の木を倒すと水色のゲージが増えるとともに、木が増えます。その際島の右のほとりに桜色の木が現れることがあります。この桜の木がポイント。桜を倒した跡地の池が埋まると、ステータス欄につながる道ができることがあるので、これを橋にできるという寸法なのです。


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 水色のゲージがいっぱいになると、島の状態がリセットされるとともに、ステータス欄の枠が右に移動し、かわりに陸地が現れます。こうなればさっきできた橋が通れるようになるので、これを渡って件の家まで行けば一件落着。このステータス欄の枠が移動するのはプログラムの仕様なのですが、ぱっと見は画面表示のバグにしか見えません(おい)。
 白いペリカンはほぼランダムに出現します。それゆえ展開は乱数に相当に左右されるのですが、さりとて全くクリアできないくらい難しい、というものでもありません。


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 灰色のペリカンは敵キャラの「悪いペリカン」です。微妙にえっちゃんを追跡しながらふらふらと移動し、捕まると風船をつけて飛ばされワンミスです。残機をすべて失うか残り時間がなくなればゲームオーバー。えっちゃんが動き続けている限り残り時間は減りませんが、橋を架けるために静止しているとどんどん減っていく上、悪いペリカンに捕まるリスクも上がります。このあたりのリスク&リターンが本作の駆け引きといったところでしょうか。悪いペリカンはむしろ万年筆沼に引きずり込んじゃうんだよ(おい)


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 ちなみに難易度が上がると、水色の木の跡に障害物が現れ、歩ける範囲がどんどん狭くなります。障害物はなぜかリンゴと1万円。なぜこれらを障害物に選んだのかは不明です(おい)。


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 独特なルールは飲み込むまで慣れが必要ですし、バグか仕様かわかりづらい挙動もプレイヤーを惑わせます。無事帰宅すればそこでゲーム終了なので、プレイ感覚はあっさりめ。全体的に本作は作りが粗くて、投げっぱなしな部分が目立ちます。
 「面白い」か「つまらない」の二つしかなければ「つまらない」の方なんでしょうが、さりとて全くダメだとか破綻しているというわけではなく、ゲームシステムはちゃんと成立しているので、戸惑いつつもそれなりに楽しむことはできるのです。
 ベーマガ編集部でもそれは同じだったようで、「変なゲーム。遊ぶうちにおもしろくなってくるが、おもしろくなったからといってこのゲームを理解したことにはならない」と評しています。とにかく独特で、たかしくん氏らしい不思議さを備えた作品と言えましょう。

*1:ついでにこの水路がPCGのリアルタイム書き換えでアニメーションしまして、表示がけっこう凝ってます。