プログラム自体はちょっと前に打ち終わっていたのですが、動作確認に少々時間がかかってました。というわけでおなじみMSXプログラムネタ。先日の桂馬飛びパズルに続き、本日ご紹介するのはMSXファン88年7月号掲載「馬跳び」です。
本作は将棋の「歩」のみを使った対戦テーブルゲームです。手持ちの歩9枚を交互に動かし、全て相手の陣地に先に送り込んだ方が勝ち。フィールドは3x9マスで構成されています。手前9マスが自分の陣地、奥の9マスが相手の陣地です。
歩だけに一度に動かせるのは、前方1マスのみ。ただし特例がありまして、目の前に相手の駒がある場合は、飛び越えて駒を動かせます。飛び越せる枚数に制限はありません。つまり目の前に3枚相手の駒が連なっていて、その奥に空きマスがあれば、そこまで一気に駒を進められるわけです。だから「馬跳び」というわけですな*1。
対戦テーブルゲームながら、本作は1プレイ専用です。相手はMSXが務めてくれます。作者さん曰く「MSXには3つの必勝法がある。」 そのおかげか、当てずっぽうに打つ限りはまず勝てないが、打ち方が分かれば勝てるようになってきて、手の内を完全に理解すれば負けなくなるという、ちょうどよい難易度で手合わせしてくれます。
テーブルゲームとはいうものの、この手のゲームは攻略法を数学的に説明できます。本作の醍醐味は、負けながらコツを掴んでその攻略法にたどり着くこと。Mファンの「MSXに勝つ方法を見つけるパズルゲーム」という評は、言い得て妙です。荒井がやった限り、駒をなるべく進めないこと、駒が進む余白を確保すること、一番下の駒はなるべく残しておくことを心がければ、(先手の場合)けっこう勝てるようになりました*2。動作確認に時間がかかったといいながら、実際は勝てるようになるまで時間がかかっただけというのはここだけの秘密なんだぜ(おい)。
この作品、ビジュアルもわりと凝ってます。PCGの書き換えにより漢字交じりメッセージを実現しているばかりか、駒も「歩」と「と」から好きな方を選べます。「歩」と「と」を切り替えると、リアルタイムに駒のグラフィックが入れ替わるのはちょっと見物で、意味なく何度も入れ替えたくなります(おい)。作者はかの「MAZE BATTLE」と同じ方。小品ながら隙がなく、作りの良さが際立ちます。