何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

板敷越えの下見をする




去年板敷山登頂を果たしたものの、やっぱり板敷越えとは少し違うようです。
そこで今度こそ板敷越えの痕跡を見てみたいと、今日は戸沢村に下見に行ってきました。


板敷越えというのは、現在最上峡と呼ばれている場所にかつて存在した古道です。
最上川舟運の代替路という位置づけにありましたが、
あまりの急峻さゆえ利用されることは少なかったそうで、
さらに明治期に現在の国道47号線、磐根新道が開通したのを機に廃れて現在に至ります。





まず向かったのは、角川支流の三ツ沢川に沿う栃台林道*1です。
この林道を辿ると、板敷越えがあったとされている最上峡左岸の尾根に近づけます。
道は雪解け水や路肩崩壊等でそこそこ荒れていましたが、
パジェロミニならばなんとなく進める程度の状態です。
ところが板敷山を越える送電線を過ぎたあたりから
路上の残雪が増えてきて、路肩をきわどく進むような場所が連続し、
現在これ以上進むのは危険と判断して、引き返すことにしました。


三ツ沢川は目もくらむような千尋の谷をなしており、
林道はそんなところの崖っぷちをきわどく通ってる上、
道の状態も状態でしたから、走っていて気が気ではありません。
板敷越えは最上峡と三ツ沢川に挟まれた場所にあるわけですから、
その急峻さの理由を垣間見た思いでした。
ただし落ち着かないことばかりではありません。
あたりの風景は見事なもので、はしりの新緑に彩られた峡谷や滝などなど、
深山の春を満喫できる光景が広がっていました。
林道の入口付近では、山菜狩りに来た車をいくつも見かけます。





ひとまず古口まで撤退し、昼食がてら策を練ることしばらく、
今度は高屋の最上川スキー場跡から近づく方法を探ることにしました。
その前に、前々から気になっていた三ノ滝に立ち寄ります。
三ノ滝は猪ノ鼻高架橋を渡ってすぐ、猪ノ鼻スノーシェッドに入る直前にある滝で、
国道47号線からでも眺めることができます。
祠のあるあたりからは踏み跡が延びていまして、滝頭の近くまで行くことができました。
目の前で見る滝は予想以上の迫力と勢いで、カメラに収めるのに苦労しました。






最上川スキー場は10年ほど前に廃業し、
現在建物は風雪に崩れ、ゲレンデは半ば薮に埋もれていました。
しかし土湯山に登る人が利用するのか、ゲレンデ跡には踏み跡が付いています。
これを頼りに上まで登って行っても、件の最上川左岸の尾根の近くに出ることができました。
まわりの様子を見て、次の見通しを立てたところで、今回の下見はここまでとしました。
第1リフト終点付近はブナと杉の混成林で、土湯山ではよく見られる植生なのだとか。
林に少し分け入ってみると、足元にはイワウチワのお花畑が広がっていました。
往時の板敷越えも、春になるとはこんな風景が広がっていたのでしょうか。


とりあえずスキー場か、土湯の黒杉あたりから近づくのが妥当かと思われますが、
いずれにせよ薮が繁る前、新緑の時期が勝負なので、近々また行く予定です。

*1:三ツ沢林道とも呼ぶらしい