何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

昔のベーマガのプログラム「悟空」




ページ数や掲載方針の都合上、凝りに凝った大作やダンプリストは載せられず、
ログインやポプコムに比べ、初級者向けの趣が強かったベーマガですが、
それゆえ短くて面白い作品が載ることもしばしばで、
そうした作品に出会えることも、同誌の魅力でした。
今回紹介する「悟空」は、そうしたベーマガ掲載作品の中でも特にお気に入りの一本です。
掲載は1986年の2月号あたりで、機種はMSX、作者はたかしくん氏。
同氏は他にも「やまのカラス」「たかしくん」といった、
凝った作品をいくつかベーマガに投稿してました。
リストは180行ほどのオールBASICで、ベーマガプログラムとしては、平均的な長さです。


内容は「西遊記」をモチーフにしたアクションゲームで、「ドンキーコング」風の固定画面型です。
プレイヤーは孫悟空を操り、筋斗雲や如意棒で敵をやっつけたり避けたりしつつ、
建物を壊しながら中に捕らえれた三蔵法師や猪八戒、沙悟浄といった仲間達を助けだしていきます。
3人の仲間を助けた後仏像を手に入れれば1面クリアで、全9面クリアでゲームエンドとなります。





最初悟空は丸腰で、三蔵を助けることで筋斗雲と如意棒が使えるようになります*1
ですからいかに早く三蔵を見つけ出すかがこのゲームの鍵となるのですが、
建物の中に誰がいるかは乱数制御なので、最悪、三蔵が最後まで見つからないなんてこともあります*2
しかし丸腰のままでも立ち回り方次第では
武器なしでやりすごすことが十分可能で、このゲームバランスが見事。
スリリングな逃走劇と、攻勢に転じるカタルシスがいっぺんに味わえるのが、
なんといってもこのゲームの魅力となっています。
短いプログラムには短いなりに工夫や面白さが詰め込まれており、
その魅力は決して大作に引けを取らないと感じさせてくれる作品ですね。


追記
この作品は当時ベーマガで開かれていた
創刊50号記念THEベストプログラマー大会にて入選を果たしています。
MSXからは15本ほどがノミネートされ、その中から一本のみの入選ですから、
プレイヤーの間でも相当に人気が高かったようです。

*1:このときちょっとしたパワーアップデモ付き

*2:ちゃんと救済策は採られていて、建物を全て破壊しても仲間が揃わなかった場合はその時点で面クリアとなる。