何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

背坂峠再び




冬の間すっかり出不精になっていたせいか、喝を入れるべく背坂峠に行ってきました。
拙サイトの記事で紹介するとおり、背坂峠は最上町満沢と尾花沢市岩谷沢の間にある峠です。
かつては隣の山刀伐峠以上に栄えた道だったのですが、現在は廃道化して人跡稀です。
しかし辛うじて道を追うことはまだ可能で、満沢鉱山跡、ブナ林、峠のお地蔵さんなどなど、
廃道好きには堪えられない史跡や自然が魅力の峠です。


今回は反対側を見てみようと、尾花沢の岩谷沢側から登りました。
岩谷沢の集落はちょうど田植が始まった頃で、代搔きをしている田んぼもちらほらと見かけます。
そんな中を2キロほど北に進みますと、田んぼが途切れて鬱蒼とした杉林が現れ、
杉の落ち葉を踏みしめるような道へと変わります。
単車が乗り入れられるのはここまで、ちょうどそのあたりで道が沢に断ち切られており、
そこから先は歩いて登ることとなります。


道はよく残っている方ですが、途中で何度も沢に分断され、何度か沢渡りをさせられます。
中腹あたりは道跡を追いづらく、いつの間に雑木林に突入して道を見失うような場所もありました。
遭難の危険性は、満沢側以上に高く、荒井も危うく道を見失うところでした。
なんとかお地蔵さんの待つ鞍部へとたどり着いたときは、「助かった!」と大声上げてました。


去年も同じ頃に背坂峠を訪れているのですが、去年あれほどあった雪も今年はほとんどなく、
道が残っている場所は非常に快適に歩けました。特に新緑の美しさは相変わらずで、
鞍部近辺では穏やかな山歩きが楽しめます。
道中至るところにはカタクリが咲き誇り、目を楽しませてくれました。
やっぱり背坂峠は、いい峠です。


峠の馬頭観音碑の前には誰かが手向けたのか、碑を守るように二本の枝が立てられていました。
去年はあれほど目立ったごみもほとんどありません。
往年の栄光が過去となって久しいものの、それでもここには、
峠に魅せられた好き者が訪れるようです。


全線踏破を試みるならば、満沢から岩谷沢に抜ける方が道を追いやすいです。
岩谷沢側からの踏破を試みるならば、地図とコンパスを持参するのはもちろん、
目印用のリボンを持参するなど、相応の遭難防止対策を採るよう強力にお勧めします。