何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「THE BALLS」

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 ボールを扱ったゲーム、というのは定番中のド定番という感があります。というわけで今回ご紹介するMSXプログラムは、ポプコム86年11月号よりその名も「THE BALLS」です。


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 本作は面クリア型のアクションパズルです。自機の車を操り、ボールをゴールに放り込むことが目的。自車はブロックを設置できるので、これでボールの軌道を変えてゴールに導きます。各面登場するボールは2個。両方をゴールに放り込めばクリアです。自車とボールが衝突したり、ボール同士がぶつかればワンミスです。
 設置できる壁は同時に4つまで。ボールがぶつかると消えますが、それ以外の方法では消せません。ですから下手に置きまくると足りなくなったり邪魔になったりしてしまうので、よく考えて設置しなければなりません。ついでにボールを狭いところに下手に追い込んだりすると、地形にハマって救い出せなくなって詰むなんてこともあります。

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中盤にはこんな面も。バラエティ豊かな全30面は遊びごたえ十分。

 ゲームは基本アクションながら、こんな具合によく考えないと解けない作りで、むしろパズル要素を強く感じます。思いどおりにゴールまで導くには、ボールの挙動、壁を設置する場所とタイミングの把握が必須。そこにアクションパズルならではのおもしろさがあります。
 全体的に作りの粗さは目立ちます。しかし感触はなかなか悪くありません。それは押さえるべきツボをきっちりと押さえているからでしょう。斬新さはないものの平凡でもないアイディア、まずまずの操作性、選べるゲームスピードにギブアップ等かゆいところに手が届くフィーチャー等々。重要な部分が十分な品質を保っているので、粗くとも雑ではないのです。

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コンストラクションモード。オリジナル面を作って遊ぶこともできる。

 特に良いのは、全30面と様々な面が揃っているばかりか、コンストラクション機能も付いていること。専用の面データ作成プログラムを使えば、オリジナル面を作って遊べます。おそらくは作者さんがゲーム製作に使ったツールなのでしょうが、コンストラクション機能はうれしいおまけです。

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グラフィックを変えたり面セレクト機能を付けたり。
改造の素材としてもうってつけだ。

 作りは良い意味で素朴です。プログラムも平易なので、プログラムの細部を作り込むという楽しみ方もできます(おい)。現に荒井もテープベースのプログラムをディスクで動かせるようにしたり*1、リストの書き方を見直して無駄を省いてみたり、グラフィックを変えたりと、いろいろ手を加えて遊びやすく改造してしまいました。

*1:オリジナルはテープ専用です。マシン語として記述されているステージデータはディスクワークエリアに配置されてあります。ですのでディスクで動かすにはデータのリロケートと、それにともないBASICリストのステージデータ読み出し処理のアドレス指定部分を書き換える必要があります。