何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「IT'S BAD」

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楽しいTVがある日もバリバリIt's so BAD(おい)

 プログラム自体は松の内に入力が終わっていましたが、他の仕事等でネタを書く時間が割けず、結局七草以降のご紹介となってしまいました。というわけで今年2本目のMSXプログラムはベーマガ86年9月号より「ITS' BAD」です。


 タイトルは田原のトシちゃんのヒット曲が元ネタのようです*1。タイトル画面ではそのトシちゃんの「It's BAD」の一節が流れますが、内容は歌詞とは全く関係のないだろう追いかけアクションゲームであります。版権大丈夫か(おい)。


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 仲良しの友だちGOOD君とBAD君。二人はいたずら魔女に捕まって別々の部屋に閉じ込められてしまいました。さて、二人は無事に再会できるでしょうか...というわけで、GOOD君とBAD君二人の主人公を同時に操作して、脱出するために必要なアイテム「白いコンタクト」を4つ集めましょう。コンタクトは部屋の中に落ちている宝箱の中に入っています。宝箱を開けるためには鍵が必要ですが、一度に一つしか持てません。それぞれの部屋ではお邪魔キャラがそれぞれうろつき回っていて、ぶつかるともちろんワンミスです。鍵を拾っては宝箱を開け、見事4つのコンタクトを集めればステージクリア。次の面へと進みます。宝箱の中には一定時間無敵になるアイテムもあって、そこそこの頻度で出現しますので、これをうまく利用できるかがクリアの鍵でしょう。
 挙動の異なるキャラの動きに注意を払いつつ、二人の主人公を同時に動かしアイテムを集めるという、頭のこんがらがるようなもどかしさがゲームの肝。グラフィックはなかなかきれいで、速度や操作性も必要十分。プログラムの読みやすさも良好。全体的によい出来で、けっこうおもしろいです。しかし編集部による寸評「チェッカーフラグ」での評価は「ありきたり」と手厳しいものでした。

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ゲームオーバー!
コンティニュー機能付きなので全ての面を拝むのは比較的容易だ。

 「一切参考にしていない」と作者さんはコメントしているものの、本作はどうしてもハドソンの名作アクションゲーム「バイナリィランド」を彷彿させます。「ありきたり」という評価は、当時それだけ「バイナリィランド」に似たような投稿ゲームプログラムが多かったということでもありました。複数のキャラクターを同時に動かすというアイディアは、誰でも発想しやすかったのかもしれません。
 その中で一歩飛び出るには、他にはないユニークなアイディアや独自性を備える必要がありました。そしてそれは誰でも容易にできることではなかったのです。

*1:作曲が久保田利伸さんだったということをついぞ先日知りました(大汗)