何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

三方倉山に登ってきた

f:id:fukenko:20201017225729j:plain
秋保ビジターセンターにて。後ろに見えるのが三方倉山。

GR III。Photoshop Elementsで縮小


 単車に乗ってきた目的は二口峠だけではありません。前から気になっていた三方倉山にも登ってきました。
 三方倉山は二口峠の入り口にある低山です。登山道ができたのが2005年。二口山塊の中では新しく登れるようになった山です。

f:id:fukenko:20201018221422j:plain
東岳山頂手前から見た三方倉山。
中央のコンビーフみたいな山がそれです。

 山自体は二口峠に出入りするようになってから何度となく目にしていました。それがいざ登ろうとおもったのは、去年小東岳仙台神室から、とっくりとその山容を眺めたからでありました。遠くから見る姿は小さいながらも端正な台形で、あそこに登れる道があるからには登ってみたいという気持ちがふつふつと沸いてきたものです。

f:id:fukenko:20201018221904j:plain
二口沢に降りてきたところ。
こういうとこで芋煮て食いたくなるな(おい)

 今回はブナ平コースを登り、シロヤシオコースを下りてくる周遊ルートを選択。二口キャンプ場の駐車場が登山口にあたるので、アクセスは良好です。峠を越えて駐車場の片隅に単車を停め、身支度を調えたらさっそく登山開始です。

f:id:fukenko:20201018222142j:plain
ブナ平とシロヤシオの分岐にあたる広場。「全逓の森」という名前があるらしい。

 駐車場から二口沢に降りて河原を歩き、「自然歩道コース」の標識のあるところで曲がって少し登ると、広々とした林が現れます。ここが本格的な登山道の始まり。片隅の「三方倉山ブナ平コース」の看板を横目に進路が間違っていないことを確認しつつ、足を進めます。


f:id:fukenko:20201018222754j:plain
f:id:fukenko:20201018222805j:plain


 コースの前半は気持ちの良いブナの森が続きます。さすが「ブナ平」。その名は伊達ではありません。秋晴れの穏やかな日差しのもと、落ち葉を踏みしめつつ、ぼちぼちと色づき始めたブナやナラの森を眺めながらの楽しい山歩きです。
 広くて勾配もゆるい楽しい小径をどんどん進んでいくと、やがてこの森の主といったかんじのブナの大木が2本続けて現れます。このあたりが「ブナ平」の最奥にあたるようです。

f:id:fukenko:20201018223432j:plain f:id:fukenko:20201018223445j:plain
急登地帯にて。人工物と見紛う柱状節理と登るほど色づく木々。

 しかしらくらくと登ってこられるのはここまで。ここから登山道は急な登りに一変します。急登の始まる地点の脇には、いかにも難所が始まるぞといったかんじで岩壁がそばだちます。人の手で作った石垣のようにも見えるこの岩壁の正体は柱状節理。なんと自然の産物で、ここもまた二口山塊であることをおもいだします。
 目の前に立ちはだかる斜面もまた急で、地図で確かめるとその高低差は200m。登ってもなかなか空が近づいてきません。「これぐらい急などごがねぇど山さ登った気がすねぜ!」と息巻きつつも、実際に息をしているのは肩(おい)。かくしてひぃひぃ言いながら登ること約30分。この間山登りメモには「ここから急登」「急登終わり」としか書いてませんでした。

f:id:fukenko:20201018224041j:plain f:id:fukenko:20201018224052j:plain f:id:fukenko:20201018224103j:plain
山頂にて。標柱と三等三角点が建つ。
眺めはないが紅葉は悪くなかったな。

 急登が終われば道は再び穏やかなブナ林へと変わります。そして程なく山頂にも到着です。
 山頂は小さな広場で、「三方倉山 971m」の標柱と看板、三等三角点が設置してあります。四周を木に囲まれ、あいにく眺めはよくありませんが、木立の間からは大東岳が見え隠れします。西隣はクロベの林。分県登山ガイドには、西に踏み跡をたどっていくと蔵王連峰が眺められると書いてあったのですが、過去に遭難事故も起きているというので、それ以上進むのはやめときました。

f:id:fukenko:20201018224331j:plain
シロヤシオコースを下る。日陰になってて薄暗かったという印象。

 10分ほど山頂に滞在したところで下山開始。今度は山頂直前で分岐するシロヤシオコースを降りていきます。こちらは無数の九十九折りで、林の中をひたすら下っていくルートです。その名のとおり季節にはシロヤシオが咲き乱れ、春先にはカタクリやイワウチワも楽しめるそうなんですが、今は紅葉シーズンですので一つも咲いていません。

f:id:fukenko:20201018224541j:plain
シロヤシオコース一ヶ所限りの絶景スポットから見る大東岳と猿鼻山。
紅葉目当ての登山客も多かったろうな。

 変化に乏しく眺めもそれほど得られない道中、一ヶ所だけ、くっきり大東岳を眺められるところがありました。そこだけ窓のように木立が開け、遮るものなく、北に相対する大東岳や磐司の岩壁が望めるのです。
 大東岳のてっぺんは真っ赤に紅葉し、まさに見頃の様子。天気も良いし、紅葉狩りには最高でしょう。山腹の水が流れているところはおそらく大東滝。磐司岩よりはるかに高いところにあんなデカい滝があるなんて。さすが磐司磐三郎の遊び場。二口の険しくも美しい、豊かな自然には飽きることがありません*1

f:id:fukenko:20201018225229j:plain
再び全逓の森へ。周遊コースも無事一周。

 かくして後はひたすら下った末、周回してキャンプ場駐車場に無事帰還。所要時間は3時間ほど。まだ昼過ぎだったので、山形市内に出て昼食にありつくこともできました。

f:id:fukenko:20201018230022j:plain
ぼちぼち紅葉を迎えつつある二口沢。しばらく水切りやって遊んできた。

 この秋のはっきりしない天気にやきもきしつつ、今年中になんとか機会を作り、ようやく念願の山に登ってくることができました。願いを叶えてひとまず満足しましたが、こうなればいよいよ大東岳にも登ってみたくなるものです。できることなら紅葉のいい時期に登ってみたいもんですな。


 例によってコースタイムは以下のとおりです。


8:47/二口キャンプ場駐車場-8:58/全逓の森体験林業村-9:06/水道施設タンク-9:22/528m地点付近-9:47/ブナ巨木-9:53/市境付近-10:03/柱状節理の岩壁-10:30/急登終わり-10:32/シロヤシオコース分岐-10:35/山頂-10:45/下山開始-10:50/シロヤシオコース分岐-11:11/大東岳展望地-11:25/休憩終了-11:55/杉林-12:00/自然歩道合流地点-12:09/全逓の森体験林業村-12:21/二口キャンプ場駐車場

f:id:fukenko:20201018230225j:plain
昼餉。ハブアグッドスライスさんの鮭とキノコのピザ。
秋らしいあったかいピザは山登りツーリングの身に染みる。

*1:同じとこから小東岳も見られます。去年登った登山道もばっちり見えました。