何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

笹谷峠に登ってきた

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GR IIIで撮影。Photoshop Elementsで縮小。


 先日、笹谷峠に登ってきました。
 笹谷峠は前からそれこそ何度も往来している道ですが、今回はちょいと違います。念願の徒歩! 笹谷峠に出入りするようになって20年、荒井初の快挙です(おい)。
 笹谷峠には山形自動車道笹谷トンネルとおなじみ国道286号線のほか、国道開通以前の古道があることが知られています。今回登ってきたのはこの古道です。その存在はずいぶん前から知っていて、例によってそのうち登りたいとおもっていたんですが、なかなか機会を作らないまま時が経ち、気付けば四十を四つも越えていたという(おい)。
 ともあれ登るなら足でしか登れない時期がいいということで、冬期通行止め解除直前のこないだ登ってきたのでありました。


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 スタートは若干遅めの午前10時。関沢インター先の駐車スペースに車を停め、登山開始です。平日にもかかわらず駐車スペースには他にも何台か車が止まっていて、このコースの人気ぶりがうかがえます。
 当然通行止めゲートは閉まったまま。峠は雁戸山や山形神室方面への出入り口でもあるため、今の時期にそちらを目指すなら、どうしてもここから歩いていかなければなりません。徒歩でなければ立ち入れないという謎の優越感に浸りながら峠を目指します。


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 古道はつづら折りの国道286号線を縫うようにして、峠まで伸びています。おなじみのつづら折りを脇目に登っていくのはなかなか新鮮な気分で、初めて笹谷峠を訪れたときの興奮が蘇りました。
 四月の中旬とはいえ、峠にはまだ雪が残っています。古道の大半にはまだ厚く雪が積もっていましたが、さすが人気の笹谷峠。出入りする登山客はそれなりに多いようで、雪の上には無数の踏み跡がついています。これが格好の道しるべとなりました。
 荒井が古道を登るかたわらで、県のパトロール車両が車道を走っていきました。再開通前の点検に来ているのでしょう。車道の雪はすでに消えているようです。


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 ふもとから峠まで一直線に登っていくので、古道は急なのかとおもいきや、勾配はわりあいに緩やかで、なかなか登りやすいです。道中では古道らしい石畳や沢の風景が目を楽しませてくれるので、歩いて飽きるということがありません。ところどころ見慣れた車道やガードレールが目に入ってくるので、現在地はなんとなく掴めます。
 いつもお世話になっている水場で水を補給し、踏み跡を頼りに登ることしばらく、11時頃に鞍部到着。来るたび毎度目にする斎藤茂吉の歌碑が、いつもと同じく、それでいつもとはちょっと違う雰囲気で出迎えてくれました。


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 冬期通行止め中ですから、鞍部駐車場には当然一台の車もありません。県境ゲートの向こうの車道はまだ雪の下。空は真っ青に澄み渡り、真っ白な残雪がよく栄えます。歩いて登ってきた者だけが味わえるこの風景。これを見るために、今の時期に登ってくる人も多いのでしょう。早春の笹谷峠には、人を惹きつける魅力があります。


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 当然峠だけでは物足りないので、もうちょっと上の方に足を伸ばします。峠から上の登山道はまだあらかたが雪に埋まり、春山の様相です。天気こそ良かったものの風が絶えず吹きすさび、容赦がありません。風は相当に強く、寒さに流れ出てきた鼻水が吹き飛ばされるほど(おい)。条件が良ければハマグリ山あたりまで行って、眺めのいいところで米でも炊いて喰おうかとおもったんですが、とてもそんなことができる様子ではなかったので、大関山中腹の岩場に到達したところで退散。鞍部に戻り、山工小屋に逃げ込みます。ここでストーブを取り出し米を炊き、日東ベスト牛丼の昼食としました。
 13時20分に山小屋を出て、14時ふもとに到着。その後チョコレートラボさんと百目鬼温泉に寄って、充実の峠行となったのでありました。


 笹谷峠を歩いて登ったのは初めてですが、徒歩でも大きく時間がかからないことが意外でした。ふもとから鞍部まで約1時間。下りも40分程度ですから、車で十何分かかることを考えれば、相当に早いです。装備さえ整えれば気軽に登れるので、ふもとから山形神室や雁戸山を目指すのも十分にアリでしょう。また、今回は車を気にせず登れたのも快適でした。晩秋の通行止め後に登るというのもおもしろそうです。