何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「こたぐちくんつかれるッ!」

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 本当に豪快に久々ですが、やっぱりプログラムはほとんど毎日入力してます。ただここのところ用事が立て込んだのと、リストが長かったもんで入力とデバグに時間がかかっただけ(泣)。
 というわけで久々にご紹介するMSXプログラムはMSXマガジン88年3月号掲載の「こたぐちくんつかれるッ!」です。


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 解説によれば一冊のMマガができるまでを再現したAVG。プレイヤーは主人公こたぐちくんとなり、編集部を駆け巡って雑誌を作るのに必要な素材を集め、印刷屋さんに引き渡すのが目的です。必要なものはイラスト・写真・原稿・レイアウト・版下の五つ。締め切りが迫る中、プレイヤーはこれら素材を集めるため、編集部員やライターを催促して廻ります。
 こたぐちくんというのはMマガの挿絵とかでしばしば見かけるデフォルメキャラのようですが、果たして実在の人物や編集長をモデルにしたのかは不明です。だって当時Mファンしか読んでなかったんだもん!(おい)。


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 こたぐちくんには「体力」「知力」が設定されてあり、行動にはこれらが必要となります。体力はゲームではおなじみ身体の資本。人と話すと減っていき、ゼロになると死んでゲームオーバーです。つまるところの過労死ですな(おい)。死なないためにはところどころに置いてある食べ物を食べてスタミナをつけるのが一番ですが、中には食べるとおなかを壊す腐ったものなんかも置いてあるのでなんでもかんでも、というわけにはいきません。
 知力は編集部員との応酬に必要な能力。これが低いとライターの尻を叩くことができず、原稿の催促に不利になります。編集部内には話すと気疲れする相手もいて、そういう人と話すと大幅に減ります。心身まさに「こたぐちくんつかれるッ!」なのですよ。


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 編集部は複数面にわたるマップで構成され、RPGみたいな画面が特徴です。ゲーム自体はそんな難しくありません。謎解きらしい謎解きはほとんどなし。話すと素材をくれる人間、話してはいけない人間、食べ物のありかを覚えるのがクリアの近道です。
 掲載号では特集として、コンピューターゲーム製作には欠かせないゲームデザイナーの仕事を紹介しています。その一環でゲームはこうして作られるというサンプルとして、この作品が企画されたようです。製作は4人がかりで期間は2週間。製作スタッフは主にMマガ編集部お抱えのセミプロプログラマーやデザイナーで、「シルフィード」のゲームアーツとも縁が深いようです。システム面の出来はさすがゲームアーツ近縁のセミプロ。それに比してゲーム内容がどこかおちゃらけているのは、製作の経緯ゆえなのでしょう。


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 さてこの作品、以前当ブログで紹介したポケットバンクシリーズ収録のAVGメディアコントロール」に酷似しています。それというのも制作者が同じだから。特にマップグラフィックはまんまいっしょ。PCGデータは全く同じです*1
 しかし「メディアコントロール」が発表されたのは1987年で、「こたぐちくん」は88年。後発の「こたぐちくん」はBGMが付いていたり、マップデータ等がマシン語化されていたりと、プログラム的に進歩が見られます。

*1:おかげでグラフィックのデバグがはかどったぜ