何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

廃棄物処理係

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 その昔「探偵ナイトスクープ」で、見た目がプリンそっくりな卵豆腐を作って食べさせる、ということをやっていました。たた食べさせると皆一様に不味いと言って食べられなかったのに、実は卵豆腐なんですよと説明してから同じものを食べさせると、さっきまで不味いと言っていた人が、一転してうまいと言いだす、というものでした。人間の認知能力の一端を示すようで興味深く見たものですが、これは食べ物の味以外にも言えることなのかもしれません。


 さておき、ここのところハイドライド3ネタにかかりきりでご無沙汰ですが、もちろんプログラムの入力はほぼ毎日続けてます。今回ご紹介するのは先日ようやく動作確認が終わったベーマガプログラム「廃棄物処理係」。92年5月号掲載です。


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 プレイヤーは廃棄物処理係。処理炉の中に積み上がっているゴミを、手持ちのブロックやアイテムを使ってすっかり消すのが目的です。ジャンルはまぁ、パズルゲームということになるんでしょうか。
 ゲームを始めると、まずは「デッキ」を組んで、落とすブロックの順序を決めなければなりません。デッキ内で使えるブロックの数と種類には制限があります。するとステージの配置を見ながら、どういう手順でブロックを繰り出せばいいのか考えさせるゲームだろうと捉えそうになりますが、本作はそういうゲームではありません。
 それというのもデッキを組むモードにて、ステージの配置を見ることができないのです。しかもステージの配置は毎回完全にランダムで、デッキのブロックが一巡すると、再びデッキの順序に従ってブロックが落とせます。一見「詰めパズル」のように見えますが、実はそうではないのです。


 詰めパズルのつもりで遊ぶと理不尽すぎて、さっぱりゲームとして成立しません。そこで「どうやらこれは『詰めパズル』ではなくて、『テトリス』のような『落ちものパズル』ではないのか?」と認識が変わります。
 なるほど、確かに効率よくブロックを消していくゲームと捉えると、ぐっと遊びやすくなります。しかしこのゲームには得点の概念がないためブロックを消してもスコアは増えません。そもそも目的は「全消し」です。ですから「テトリス」や「ぷよぷよ」のような感覚で遊んでみても、何かが決定的に違うため、さっぱりおもしろくありません。


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 現時点では「中途半端で爽快感のない落ちモノアクションパズル」という認識で、正直全然おもしろくないのですが(おい)、一方で自分はまだこのゲームの遊び方や楽しみ方を理解していないだけではないのか、プリンや卵豆腐ではなく、茶碗蒸しやかに玉だったりするのではないか、ともおもうのです。


 ゲームを遊ぶ時は、そのゲームがどういうものか理解できていないと、楽しみ方がわかりません。言い換えれば、そのゲームのタチによって楽しみ方や受け容れ方は変わります。プリンのつもりで卵豆腐を食べればそれはしょっぱくて不味いプリンのようなものにすぎませんが、それが卵豆腐だとわかっていれば、はじめから旨い卵豆腐として味わうことができるのです。ですから「これは卵豆腐なんだ」と一目でわかることは、案外重要なのことなのかもしれません。