何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

ふたたび月山に登ってきた

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 天候不順で7月8月とろくろく山に登れなかったり登頂失敗だったりで登りたい欲が鬱積していたところ、先日の土曜、さいわい天気が持ちそうだったので、このままでは欲求不満が爆発するぞと単車を走らせ、月山に登ってきました。
 前回登ったのは2年前。そのときはモンベルのイベントでいただいたリフトタダ券を使うべく、9月の半ばに姥沢から姥ヶ岳経由で登ってきたのでありました。そのとき山頂付近はガスのおかげであまり展望が開けず、天気がいいときまた来よう、山頂から鳥海山を見てやるぞ、と固く決意したのでありました(おい)。


 今回登ってきたのは羽黒山方面から山頂に向かう弥陀ヶ原コース。前回の姥沢コースとは正反対に、北側から登頂を目指すコースです。八合目まではバスも通れる県道・月山公園線が通じ、そこから登っていけるという、おそらく月山登山道では最も難易度の低いだろうルートです。
 かつて、八合目までは何度か来たことがありました。その当時はどういうわけかさっぱり気づかなかったのですが、この月山公園線、庄内平野の眺めがすばらしく、単車で走っていて非常に楽しめます。にもかかわらず鳥海ブルーライン蔵王エコーラインと違っていまいちマイナーなのは、どん詰まりなのでツーリングルートに組み込みづらいゆえでしょう。


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 県道起点のビジターセンターから走ること40分、終点八合目に到着。広い駐車場はこちらも全国津々浦々のナンバープレートの見本市状態でやはりというか百名山です。
 確か最後に訪れたのが中学生の頃。家族ドライブで弥陀ヶ原の湿原を見に来て、帰りの車中で兄が友達の家で遊んだ出たばかりのX1版「イース」を絶賛していたことを覚えているので、八合目に来るのはかれこれ30年ぶりということか(おい)。


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 さておき8時45分に登山開始。弥陀ヶ原の木道を抜けると、そこから先は石が敷き詰められた登山道が続きます。さすが人気の登山道、道ははっきりしてますが、ゴロゴロしていて歩きづらいです。敷石はどれもストックの傷だらけで、行き交う登山客の多さをおもわせます。
 急な登りもなく、最も難易度の低いコースではあるものの、標高1400メーターを超える高所であり、油断ができないことに違いはありません。実際、数日前には遭難者まで出ているのです。


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 1時間ほどの歩きで中間地点の仏生池に到着。ここの山小屋でソフトクリームを食って一息ついて、最大の難所・行者返しを経てもう一歩きすれば、見覚えのある山頂です。


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 山頂到着が10時50分。ここまで懸念の天気は一進一退でした。前日は山に行けないのが憎たらしいほど素晴らしい晴れ模様。翌日からは台風接近による雨や曇りの予報で、なんで休みのたびにこうなんだと恨めしくおもっていたところ、直前になってどうやら晴れそうだという予報に変わり、当日朝には家から月山はもちろん鳥海山の稜線が見えたのでもしやと一縷の望みを抱いて登りに来たのでありますが、山の上は微妙な曇り空。最上や村山方面は雲の下で全く見えず、出たり消えたりするガスに一喜一憂です。山頂に近づくとあたりは真っ白になり、冷たい雨粒まで吹き付けてきやがりまして、あぁ、今回もダメなのか...と暗澹たる気分でせっかくだからと山頂の月山神社に参拝したところ...


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 晴れました(驚)
 昼になって天候が回復し、さっきまでのガスはどこへやら。微妙な曇り空はいつの間にやら真っ青になっていました。ろくに見えてなかった月山神社と山小屋はもちろん、眼下に立谷沢川と庄内平野を見下ろし、向こうには最上川の河口と酒田や鶴岡の街、さらに奥には飛島や粟島までもがくっきり浮かびます。登山道のある西の山並みは前回登った姥ヶ岳方面。そして北には鳥海山と山頂の姿。あれほど自分の目で見たかった、観光パンフレットでおなじみの構図と同じ光景です。


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 最上や村山方面はあいかわらず雲海の下でしたが、当初は台風接近で山登り自体ができなかったかもしれないことをおもえば、望外に恵まれた結果です。周囲の登山客もみんな大喜びでこの眺望をほめたたえ、写真を撮りまくっていました。
 天候が回復したところで前回とは反対側、山頂直下の庄内平野の眺めのいいところに陣取りカップ麺の昼食。この展望を目の前になかなか去りがたく、結局2時間ほど山頂に滞在したのでありました。


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 ほかにも今回は前に見られなかったものを確認することができました。三角点です。月山の三角点は山頂ではなく、その少し北側の若干低いところに設置してあります。月山の三角点は薬師山や与蔵峠、葉山と同じく一等三角点。三角点好きにはたまりません。三角点からは北に遮る物がなく、鳥海山庄内平野を一望にできます。


 月山の三角点が山頂にないのは、往事設置しようとした際、すでに山頂に神社があったためと伝わっています。そのとおり、月山は出羽三山の最高峰であり、古くからの信仰が息づく山です。道中白装束の三山行者はあちこちで見かけましたし、山頂の月山神社では三山講とおぼしき一団が祈祷を受けている最中でした。現代的な装備で身を固めた登山客で溢れていても、山頂一帯には絶えず祝詞が響き渡り、歩いていればどこからともなく法螺貝の音や念仏が聞こえてきます。今でも月山とはそういう山、なのです。


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 13時20分に三角点を発って来た道を引き返し、再び八合目に戻ってきたのが15時5分。その頃にはすっかり空は晴れ、最上の方もちょっとだけ望むことができました。
 今回は念願だった山頂からの鳥海山を拝むことができました。登りたい欲を大いに満足させる山行となりましたが、まだ村山方面の展望はまだ目にしていないので、また登ることになりそうです。
 そして高所だからか、意外に日焼けするようです。翌日職場に行ったら同僚の人から「鼻の頭が真っ赤に灼けてるけどどうしたの」と訊かれました(おい)。