何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「SHRINE」

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 というわけで先日デバグしてたプログラムを打ち終わったのでご紹介です。
 今回のタイトルは「SHRINE」。電波新聞社MSX大全集収録のアクションアドベンチャーです。リスト中の註釈によれば制作は1986年6月ですからほぼ30年前。作者は以前紹介した「ハデス・プリズン」と同じ人。だから8x8ドットのキャラクターとか押して動かすという要素等、似たものがあります。


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 ロケハンのため遺跡に来ていた映画監督がまちがってアマゾン奥地のシュライン文明の地下神殿に迷い込んでしまったので、知恵を振り絞って脱出せよというストーリーがありますが、要は罠だらけの神殿から脱出するのが目的です。
 神殿は16+αのフロアからなります。各フロア上部には4体の神像が並んでいて、これの口に宝物を押し込んで収めると出口の扉が開きます。そこから脱出すればステージクリア...というだけならかんたんそうなのですが、もちろんそんなはずがありません。


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 神像は各面決められたパターンに従って宝物を収めないと出口が開かず、さらに5キャラ分の広さのある出口はどこに入っていいというものでもなく、入る場所によっては下の階に戻されたり、クリア不能なフロアに送り込まれたりします。そこでさあどうするか...というのがこのゲームが謎解きアドベンチャーであるゆえん。86年、ハイドライドザナドゥが幅を利かせていた時代らしく、ヒントというものはほぼありません。作者も「細かいことは教えません」とプレイヤーを突き放した態度。試行錯誤しながら正解を見つけてくださいという趣向です。
 しかしこれではプログラムの挙動がバグか仕様か判断できません。そのためバグ採りと謎解きがてらリストを読む羽目になりました。Dr.Dもチェッカーフラグで「このゲームに関してはプログラムを読んで解くのがいい」といったことを言っています。


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 リストを読むとさすがに解法は丸わかりです(入力ミスも丸わかり!(泣))。しかし分かっても、そうかんたんには解かせてくれません。宝物の押し動かし方にはパズルゲームの要素があって、考えなしに押しまくるとハマりますし、各フロアには敵も登場します。時間制限もあるのでもたもたしてはいられません。各フロアに制限時間があるのはもちろん、開いた出口もしばらくすると閉じるという辛めの仕様。焦るとキー操作を誤ったり、まちがった出口に突っ込んだりということがわりとあります。時間制限でプレイヤーを焦らせるという作りがニクいですな。


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 キャラクターの小ささ、良いとは言えない操作性、変化の少なさ、難解さといった問題ゆえ、誰がやっても面白いというゲームではないでしょう。しかしリストの解析を含めて、解き方がわかったときの爽快感は当時の難解ゲームならではの魅力であり醍醐味です。


 ヒントをちょっと紹介すると、気をつけるべきは3つ。
 ・神像に収めるべき宝物=開閉に関係する宝物は2種類のみ。
 ・持っておくべきアイテムは敵を倒せる4つだけで十分。
  それ以上は邪魔になる。
 ・神像に収めた宝物の位置はZAPと大いに関係がある。


 これを知っておくだけでもかなりクリアは楽になるでしょう。このゲームには昔のAVGRPG風ゲームらしく「得点」があるのですが、ハイスコアクリアよりも低スコアクリアを目指した方が面白いかもしれません。


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 ところでこのゲームはオールBASICなので、ちょっと改造するだけでグラフィックを大幅に向上できます。リスト中の誤字も多いので、修正がてらグラフィック改良版を作ってみました。ニセスクリーン2モードこと多色刷りPCGのカラーデータを弄ってレンガにグラデーションを付けたり、デフォルトの文字フォントを使わず太字化するだけでも、けっこう印象が変わります。こういう遊び方ができるのも打ち込みプログラムならではでしょう。