何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

営農男子会

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 というわけで先日簡易宿泊施設に行ってきたときのお話です。
 それは去年の末のこと。日頃お世話になっているTAKAさんに、最近となりまちでゲストハウスを始めようとしているオーナーさんを紹介されました。それでオーナーさんから一度泊まりに来てくれよと誘われていたのですが、こないだようやく時間を作って初めて様子を見に行きました。旅道具一式持参して(おい)。


 ゲストハウスとは旅人向けの木賃宿です。素泊まり・相部屋・セルフサービスが基本で、その分料金はずっと抑えめ。だいたいはその土地の魅力を安く気軽に満喫してもらおうという趣旨のもと運営されています。貧乏旅を経験した旅人がやってることも多く、旅人の心をくすぐるような趣向を凝らしたところが多いのも特徴です。相部屋ですから旅人同士の情報交換や交流ができるのも大きな魅力。そういうわけで通常の観光旅行では飽き足りない旅人がよく利用します。
 かつての「とほ宿」や「ライダーハウス」もある種のゲストハウスでしょうか。民泊ブームや「おもてなし」、インバウンド観光等々で近年にわかに注目を浴び始めた感があります。山形では村山の「こめやかた」さんが最近知名度を上げていますな。


 件のとなりまちのゲストハウスは、オーナーさんこと篤志家の地元農家さんが、農業を軸とした人材交流や起業・移住支援をやりたいということで、以前住んでいた古民家をその拠点として提供しているというものです。ですから昨今のブームとは目指しているところが少々違うかもしれません。ノウハウがまだ少ないものですから、現在は関係者や興味がありそうな人々に声をかけて泊まってもらいながら、手探り状態で運営形態や方法論を模索しているといったところのようです。


 荒井が行った日は特に人が集まったようで、荒井含めて7人ほどの来客がありました。主に地元近隣の若手農家さんで、農業で使えるソフトウェア制作開発のため東京からたびたび通っているというシステムエンジニアの方もいます。日の暮れた頃から三々五々と談話室に集いだし、オーナーのおかみさんが焼いてくれた卵焼き*1を肴にわいのわいのと飲んだくれることとなりました。
 農業に関わっている人々が集まっているので、話題は自然と農業のことになります。まず盛り上がる話題が、メーカーによる農機の性能の違いとか操縦方法とか。ヤンマーがいいだのクボタ推しだのやっぱりヰセキだぜだの、人によってこだわりがあるようです。営農あるある。そういった話題で盛り上がれる集団というのを、寡聞にして荒井はこれまで見たことがありません(おい)。
 彼らは気鋭の農家です。こういう作物をこういうふうに作りたい、こうしたらもっと安定して高品質なものが作れるんでないか、もっと稼げるんでないか等々、将来の夢や展望も活発に話し合ってました。
 彼らは家族経営の農家の跡取りなんですが、非常に士気が高いのは、自分の裁量で作りたいものを自由に作らせてもらえるという環境が大きいように思われます。農家とはアイディアマンであり、起業家であり、実行家です。月給取りとしてしか働いたことのない荒井はとても敵わないなと羨ましく話を聞いていたのでありました。

*1:養鶏もやっているので卵は山ほど食べられました