何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「祖羅曼蛇」




また一本プログラムを打ち終えたのでご紹介。
今回はベーマガ88年6月号掲載、MSX2用アクションゲーム「祖羅曼蛇」です。
作者は箕面高校エレ研究KICHI氏。
どうやら高校のコンピューター部で作ったゲームの模様です。
題名どおり「『沙羅曼蛇』をわが家のマシンで遊びたい!」という趣旨の作品ですが
MSX-BASICで『沙羅曼蛇』を再現するのが無謀なことであることは
作者も百も承知でいたようで、内容はぐっと簡略化されてます。





沙羅曼蛇」といったら3面のプロミネンス。
特にMSX版「沙羅曼蛇」ではプロミネンスが省略されていたため、
「自分のマシンでプロミネンスが見たい!」というのは、
MSXユーザーの切実なる欲求でありました。
本作はそこに絞って再現を試みた作品です。
プロミネンスや敵キャラ「不死蝶」をかわしつつ炎の中を進んでゆき、
面の最後で待ち受けるイントルーダー...もとい「祖羅曼蛇」をやりすごせば面クリア。
5面クリアでエンディングです。
「弾を撃つ」ということはできないので、できるのは本当に避けるだけ。
MSX2ならではの性能でグラフィックはそれらしく描かれており、
弧を描いて吹き上がるプロミネンスや、とぐろを巻くボス祖羅曼蛇等々、
見てて楽しい上、わりと動きもいいため、避けるだけなのにそんなに飽きません。
遅いのはMSX-BASICなので致し方ありません(おい)*1


当時は様々な機種で「沙羅曼蛇」のプロミネンスの再現を試みた
「なんちゃって沙羅曼蛇」的作品が発表されていましたが、
MSX2以降の機種では、(遅いけど)それなりに強力なグラフィック重ね合わせ機能を
BASICでサポートしているため、プロミネンスを再現するのは比較的簡単なことではありました。





本作をさらに面白くしているのは
「不死『鳥』の再現が難しかったから『蝶』にした」という
後ろ向きなダジャレによる「不死蝶」の起用と、
BGMにカッコイイロックとかプログレサウンドでなくて
よりによって「箕面高校生徒会の歌」を採用したこと*2
作者の「できるならオリジナルのようにもっとクールにスマートに、
 カッコよくしたかったのに!」という心の叫びが聞こえてくるようですが
このノリが本作の「バカゲー」としての完成度を高め、
ベーマガらしい楽しさを出しています。
この箕面高校生徒会歌、ゲーム中のみならずエンディングでも流れます(おい)。





この手の「アーケードの醍醐味をマイマシンで!」というゲームは、
アーケードのどこを再現してどこを捨てるかが重要で、
これにしくじってどっちつかずになってしまった作品も数あまたです。
本作では「それらしいグラフィック」と「敵の動き」の再現に絞りこみ、
まず「なんちゃって沙羅曼蛇」としてそこそこ遊べる出来になっています。
その上に意図したにせよしなかったにせよさまざまなバカゲー的要素が積み重なって、
本作は忘れがたい作品となっているように思われます。

*1:遅くともそれなりに遊べるバランスと速度です

*2:ほめてます。