何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「Rock'n Roller」




 またMSXのプログラムを一本打ち終わったのでご紹介。今度のもポプコムプログラム、MSX用対戦アクションゲーム「Rock'n Roller」です。
 掲載は1988年12月号で、リストはオールマシン語で約10ページ。例によってOCRの精度がやたら良かったため、今度は入力開始からわずか3日で動作までこぎ着けました。ちなみにポプコムにリストが掲載された最後の投稿作品だったりします。


 ゲーム内容はいたってかんたん。軌跡を残しながら走るレーシングカー*1を操り、制限時間内にフィールド内をできるだけたくさん塗りつぶしていきます。
 しかし敵車が三台登場し同じようにフィールドを塗りつぶしながら走ってますので、軌跡は絶えず上塗りされてしまいます。敵車や壁にぶつかると、ペナルティとしてしばらく行動不能になりますが、逆にうまく敵を誘導して壁や敵車にぶつければ、足止めすることもできます。
 こんな具合に絶えず塗られ塗りつつしながら走り回り、制限時間が切れた時点で一番広い面積を塗りつぶしていたプレイヤーの勝ち。勝つためには操車のテクニックはもちろん、状況を見ながらどこを塗りに行くか決める瞬時の判断力も求められます。
 ルールを説明すればこんなところですが、どういうゲームであるかはゲーム画面を見れば一目瞭然でしょう。





 ...まぁ、今のハイデフなゲームと比べるのは酷ですが、本作は固定画面式です。
 「終了時点で一番塗れてた奴が勝ち!」
 ルールははっきりいってそれだけ。プレイ中使うのも方向キーだけととにかくシンプル。最近の対戦ゲームによくあるスペシャルアイテムや、バラエティ豊かな対戦ステージといったものはありません。あまりにシンプルなので、そうした凝ったギミックやフィーチャーが好きな人でなくとも、飽きは早いかもしれません。
 しかしこの単純明快さゆえ取っつきは最高で、すぐに決着が付くテンポのよさと爽快感、そしてシンプルなルールが生み出す攻防のアツさは中毒的。飽きてもしばらくして遊んでみたら、また楽しく遊べるタイプのゲームです。だからちょっとだけ遊びたいときに取り出すゲームや、接待ゲームとしてかなりの品質であることは間違いなし。最大4人までの同時プレイが可能で、ポプコム編集部も大いに夢中になった模様です。







 このゲーム、シンプルながら非常に作りがいいのもポイント。
 エントリー時や勝利時に表示されるグラフィックがMSX1とは思えないほど凝ってます。特に女の子グラフィックのカワイさは特筆もの。「横8ドットに付き2色」という制限があるMSX1でカワイイ女の子を描くということは、相当なセンスがなければできない芸当なのです。
 クリア時のグラフィックも、勝利したプレイヤーの色によって、ドライバーのツナギの色が変わるという芸の細かさ。とにかくグラフィックの凝りようには目を見張らされてしまいます。






 設定オプションも充実してます。プレイ人数や操作方法はもちろん、COMの移動パターンや移動速度、制限時間、さらには車のデザインなども選ぶことができまして、1人で遊ぶときも4人で遊ぶときも、好みのセッティングが選べます。ついでにミュージックモードまで付いているというサービスの良さ。
 この作りの丁寧さは他にもに言えることで、グラフィックや音楽、当たり判定や操作性に至るまで全体からにじみ出る作りの丁寧さが、本作をさらに面白いものにしているのです。
 ポプコムで発表されたゆえ知名度こそ低いものの、「ウォーロイド」「Bomberくらげ」「BALL BALL」等の、MSX名作対戦ゲームに名を連ねて然るべき作品でしょう。


 例によって動画を準備したので、どうぞご参考に。制作者の方のサイトもありましたのでリンクを張っておきます。




「かえるソフト」
http://hp.vector.co.jp/authors/VA010639/

*1:厳密には「ローラー車」。だからロックン「ローラー」なわけです。