何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「MAZE」




 打ち込んでいたプログラムのデバグがようやく終わったのでご紹介。今回はポプコム87年12月号掲載作品「MAZE」の紹介です。
 内容は題名どおりの迷路脱出ゲーム。友達と「巨大迷路を2時間で攻略したら500円もらう」という賭けをした主人公が、掛け金目指して巨大迷路の脱出を目指すというストーリーがあったりします。





 迷路の広さは80x80x4層です。画面上には主人公の周囲5x5の範囲が表示されます。脱出するためには出口に行けば良いのですが、その前には6つの扉があり、これを開ける鍵を集めてこなければなりません。さらにプレイヤーには体力が設定されており、これがタイマー代わりとなっています。0になればもちろんゲームオーバー。体力や鍵は迷宮内に落ちている箱から手に入れるほか、点在するショップでも買うことができます。
 プレイヤーはゲーム開始の際に男子・女子から好きな性別を選べます。それに応じてショップの値引率が変わるところがちょっとだけ凝ってます。
 こうして巨大迷路内を歩き回り、体力が0になる前に鍵を集め、出口にたどり着けば目標達成です。





 ルールだけなら簡単なものの、クリアはなかなか厄介です。
 80x80x4というマップの広さはもちろん*1、鍵はそれぞれ奇数個でなければ扉が開かないという条件が課せられています。拾った場合手に入る鍵の種類はランダムなので、拾うたびに鍵の数を気にする必要があります。そこが駆け引きなのかもしれませんが、ランダムゆえにはっきり言って煩わしい。
 また、プレイ中は頻繁に各階層を往来することになりまして、出入りするごとにマップデータを読みに行きます。しかしこのゲームはテープベースなので、出入りごとにテープを巻き戻したり入れ替えたりしなければならないという鬼仕様*2。動作速度や操作性も鈍く、さらにリスト中にバグが残っている気配もあり、脱出には相当な根性が必要となるでしょう。


 一方、一度取得したアイテムはマップを切り替えれば復活します。これに気付けば(長いデータロードに耐える必要こそあるが)、マップを出入りしつつ、同じ場所でアイテムを拾い続ければクリアに必要なアイテムがあっさり揃ってしまうという抜け道も。
 巨大迷路からの脱出ゲームというコンセプトは決して悪くないのですが、作り込みの甘さと練り込み不足でかなり損しているという印象です。
 内容の割にプログラムが長大なのもいただけません。プログラムはオールBASICで書かれています。データやマップ表示処理をマシン語化したり、プログラムの書き方を見直すだけでも、かなり入力しやすく、かつ遊びやすくなるとおもいます。
 はっきり言って内容が単調な割に無駄にスケールが大きくルールも煩雑で、そんな面白くありません(おい)。迷路脱出ゲームとしては、ベーマガの「DUNGEON」シリーズの方がはるかに取っつきがよくて遊びやすいし面白いです。しかもあちらの方がリストも短いしw


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 幾多の困難を乗り越え、見事脱出を果たすとエンディングとなります*3。しかし「友達が2時間も黙って出口で待っているはずもなかった。賭けの約束はもちろんパー。君は見事に担がれたのだ。」というヒドいオチが待っています。
 オチ自体はよいのですが、このメッセージがリスト中で暗号化されていないため、入力すれば即ネタバレしてしまうのも興醒めです。
 今回はかなり厳しめの感想となってしまいましたが、もっと丁寧に作れば面白くなったのになと残念しきりに思います。

*1:しかし1ブロックが8x8ドットのキャラで描画されるため見づらい。

*2:もっとも、かんたんにディスク化できるので、そうするとだいぶ遊びやすくなります。

*3:ストーリーでは「2時間」と制限時間が提示されているが、ゲーム中に「時間制限」が一切無いのもどうかと思う。