何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

ERROR!




前回はアーケードゲームの再現に苦心した時代の話をしましたが、
今回はホビーパソコンだからこそという作品のお話です。


画面写真ではダイレクトモードで普通どおりにBASICコマンドを
打ち込んでいるようにしか見えませんが、実はこれがゲーム画面です。
今回紹介する「ERROR!」は、「MSX・FAN」94年12月号に掲載された、
一風変わったパズルゲームというかクイズゲームです。


クイズと言っても、雑学の知識を問うものではありません。
実行すると「このエラーを出せ」というお題が提示されまして、
プレイヤーはそれに従ってBASICコマンドを考えて入力し、
指定のエラーを出せば正解という、意図的にエラーを起こしていくゲームなのです。
はじめのうちはSyntax errorやIllegal function callといった
お馴染みのエラーばかりなので楽勝ですが、
ステージが進むにつれ厄介なエラーが出題され、
次第に難易度が上がっていきます。
フリーエリアがら空きの状態でどうやってOut of memoryを出せと?(笑)*1
ひとくちにエラーとは言いますが、実はそれが起こる原因を知らなければ、
自分で起こすことはできませんし、デバグもできないわけでして、
それをクイズ仕立てにしてしまったのが、この作品の妙味となっています。


本作が掲載された94年12月号は、Mファン休刊間際の号です。
その頃ともなると、往年のホビーパソコンはあらかた滅亡し、
プログラムもメディア配布やダウンロードが主流となりつつありまして、
雑誌に掲載されたプログラムを入力し、自分でデバグするという文化は廃れつつありました。
そんな時期に本作は登場したわけですが、まだプログラムが身近だった時代だったからこそ、
成立し得た作品だったのかなというのは言い過ぎでしょうか。

*1:無茶な配列変数を用意したり、CLEAR文でフリーエリアを変更すれば可能です。