何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

「DUNGEON2」




というわけで、本日紹介するのはご要望のあった「DUNGEON2」です。
掲載はベーマガ1988年3月号で、作者は田中政行氏。
例によってMSX用、「DUNGEON」同様の迷宮探索型RPGです。
「2」と銘打ってますが、作ったのは「DUNGEON」の作者とは別の方です。
本作は続編と言うよりも「DUNGEON」のマップ展開ルーチンを流用して作った別作品でして、
それは作者の田中氏も「マップ展開ルーチン以外は全くの別物」と明かしています。
「かつて勇者が制覇した迷宮が、長い時を経て再び魔物の巣窟と化した。
 魔物を鎮めるべく、新たな戦士が迷宮に挑む。」といった具合の物語もあるのですが
後付け的な物でして、まぁ、要は敵をやっつけて迷宮から脱出すればいいというわけです。





「DUNGEON」がわりあいシンプルに作られていたのに対し、
本作はベーマガ作品としては相当にてんこ盛りな内容になっています。
敵の種類やアイテム数の増加といった続編のお約束はもちろん、
なんといってもレベルの概念が盛り込まれ、よりRPG色が濃くなったのが一番の違いでしょう。
前作がちょっとしたときにぱっと遊べるお手軽RPGなら、
「2」は腰を据えて遊ぶオーソドックスなRPGですかね。
「DUNGEON」が30分ほどでクリアできたのに対し、本作は3〜4時間ほどを要しますので、
前作にはなかったセーブ機能なんてものも付いてます。





RPGとして強化されただけあって、もれなく数々のボス敵も登場します。
ボスもただ強いだけではなくて、それぞれ謎を解かなければ勝てない仕様で、
こうした謎解きが、ともすれば単調になりがちな展開を救っています。
謎と言っても、必要なアイテムを探して揃えるだけなのですが、
必要なタイミングで一応ヒントが出てくるので、なかなか考えて作ってる印象を受けます。
リストを読むと、本作はかなり厳格にフラグ管理をしてまして、
プログラムを弄っていたずらに属性値を上げても、解けないようになってました。





盛りだくさんになった分、リストは300行ほどと長めで、
しかもリストの3分の1はマップやグラフィック、テキストといった各種データに費やされてます。
中でも結構な量を占めるのが、音楽演奏用のMMLデータ。
本作は音楽に凝ってまして、タイトルやエンディングでは
なかなか力の入ったBGMを聞くことができます。
作者のコメントによれば、本来はアイテムを全てスプライト表示して、
敵グラフィックもフルカラーで描かれ、ゲームプレイ中もBGMが流れるという、
かなり凝ったものになる予定だったそうですが、容量不足や共同制作者の風邪等で、
あれこれ断念し、現在の姿になったのだそうです。
それらが完成していたらどうなるか見てみたかったような気もします。


なかなかの力作に仕上がっている本作ですが、
掲載リスト自体にバグがあったり、メッセージに誤字があるのが残念ですね。
その全てが残っていてもなんとなく動作してしまうという質のものでして、
ベーマガのあくせすROOMにも、修正情報は載っていませんでした。
いまさらながらどれほど需要があるかは判りませんが、
バグ情報が欲しいという方は荒井までどうぞ。