「きみとぼくと立体。」が二人プレイを売りにしていたということで、
今回は二人プレイ用打ち込みゲームをご紹介します。
その名も「饅頭合戦」、電波新聞社の「MSX・MSX2プログラム大全集」に収録された、
りのねむ氏製作のMSX用対戦アクションゲームです。
本作の主役はベーマガではおなじみ編集部員の影さんと編さん。
Dr.Dおみやげの饅頭を巡り、不毛な奪い合いバトルをするという内容です。
二人プレイ専用で、一人が影さん、一人が編さんを操作して、
フィールド上に散らばる饅頭を先に10個集めた方が勝ちとなります。
ルール自体は非常に単純ですが、本作を面白くしているのは、
数々のユニークな妨害アイテムの存在です。
饅頭を奪う「カナヅチ」、相手をスタート地点に戻す「リターンキー」等々、
数々のアイテムがありますが、中でも凶悪なのは「やかん」でしょう。
中には熱湯が入っており、これを浴びせられたキャラは
熱さのあまりしばらくフィールドをのたうち回るので、その間操作不能になります。
手にすれば圧倒的優位が保証されるので、ゲームは饅頭よりもむしろやかんの奪い合い(笑)。
運悪くやかんを奪われたプレイヤーは、なるべく相手に遭遇しないよう逃げ回るのですが、
そんなときのためにレーダー表示まで用意されているあたりが妙に凝ってます。
また、アイテムを手にしている状態では饅頭が拾えないので、
饅頭を拾うためにやかんを手放した隙を狙い、リターンキーで相手をスタート地点に戻し、
その隙にやかんを強奪するといったこともできまして、このあたりの救済措置もなかなか巧いです。
しかし本作にはやかんのさらに上を行く凶悪アイテムが存在します。それが「爆弾」。
どちらかのプレイヤーがリーチをかけると、フィールド上のどこかに出現するのですが、
これを取ると即ゲームオーバー、それまでのゲームがパーになるというとんでもないシロモノです。
やかんで煮え湯を飲まされ(浴びせられた?)、劣勢に陥ったプレイヤーは、
これを使えば、勝たずとも最後の最後で相手に一矢報いることができるというわけです。
やかんと爆弾、凶悪アイテムを相殺するのはその上を行く凶悪アイテムという力業。
非常にヒドくて見事すぎるルール設定こそ、本作の面白さの秘訣でしょう。
MSXの傑作二人プレイゲームでは「ウォーロイド」や「フィールドマスター」等が知られていますが、
マイナーながら「饅頭合戦」のアツさ、面白さは、決してそれらに引けを取りません。
MSXに限らず数ある対戦ゲームでも、荒井の一推しですね。
リストも短いですのでもし手にする機会がありましたら、強力にオススメします。