何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

ベーマガとの出会い




ここのところ手を付けていた
ハードディスクのファイル整理がそろそろ片付きそうで
余裕が出てきたので、久々に昔話を。


さて、データレコーダーを手に入れたおかげで、
長いプログラムに手出しできるようになったわけですが、
ちょうどその頃、「こんなプログラムがあっつぉ」と、
友人が雑誌の切り抜きをいくつか貸してくれたというのは、以前お話ししたとおりです。
その中から面白そうな作品をいくつか入力しては遊ぶうち
それまで入力していたショートプログラムとは全く異なる、
凝ったプログラムにすっかり引きこまれていたのでした。
こんな面白いプログラムが載っているなら毎号買って読んでみたいと
思うようになったのは当然の成り行きでしたが、
自分が手にしたのは切り抜きだったので、雑誌の名前までは判りませんでした。
手がかりはプログラムの解説や床の欄外コーナーに盛んに出てくる「ベーマガ」という言葉と、
「影さん」「編さん」「つぐ美さん」「Dr.D」というキャラクターぐらい。
それでもこれら情報を頼りに本屋に行ってみたところ「マイコンBASICマガジン」という雑誌を見つけ、
どうやらこれらしいということが判明したのでした。


荒井が最初に買ったのは86年4月号でした。
表紙はジャレコの「アーガス」の画面写真をコラージュしたデザインで、
「50機種のパソコン用ソフト68本一挙掲載」
「大好評連載 ファミコンでオリジナルゲームを作ろう!!」
「チャレンジAVG:はーりぃふぉっくす雪の魔王編」等々の文字が躍り、
ページをめくればすぐ裏にシャープの隠れた名機MZ-2500、
裏表紙には工藤夕貴をイメージキャラクターに立てた日立のMSX2 MB-H3の広告が控えています。
そして何より、表紙の大部分を占める収録作品・対応機種リスト!
今となっては時代を感じさせるだけかもしれませんが、当時は表紙から裏表紙に至るまで、
どこもかしこが驚きに満ちており、わくわくしながらページをめくったものです。
ついでにこの号では、YK-2こと古代祐三氏が、ベーマガライターデビューを飾っています。





今回紹介する「ハンバーグを焼こう」は、
記念すべき荒井が手にした初のベーマガ、86年4月号に掲載されたMSX用作品です。
ガスコンロとフライパンでハンバーグを焼いていくという内容ですが、
主人公は小人であるため、厄介な手順を踏まなければなりません。
まずは画面下の「NAMA」の矢印のところでパテを取り、
はしごを使ってフライパンの中に入り、取ったパテを並べていきます。
並べたらはしごを使って戻り、「GASU」のところで火加減を調節します。
そのうちハンバーグの下半分が焼けてくるので、再びフライパンにとって返し、
ハンバーグをひっくり返して残った面を焼きます。
さらに両面が焼き上がったらハンバーグを回収し「YAKI」のところに持ち帰り、
これでようやく一個完成、得点となります。
ちなみに焼きすぎると焦げてしまい、ハンバーグを焼ける場所が狭くなります。
手順だけでも面倒なのに、さらに嫌らしいのがお邪魔キャラの火の玉。
プレイヤーは頭突きで火の玉を退けつつ、黙々とハンバーグを焼いていくことになります。


本作はBASICの限界か、操作性や攻撃判定に少々難がありまして、現在遊ぶには厳しいですが、
アイディア自体は非常によいものがありますし、ルールも複雑ながら、よくまとまっています。
「バーガータイム」の例を出すまでもなく、小人が巨大ハンバーグを作るだの、
あり得ないほどでかい果物を目的地まで運ぶだの、この頃にはこんなふうな、
良い意味で荒唐無稽で、自由な発想に満ちあふれたゲームをよく見かけたものでした。


ベーマガで忘れてならないのは、やっぱり影さんや編さんらの存在です。
グータラでパソコンクラッシャーのトリックスター影さんに
しっかり者編集者編さん、プログラムについてはちょいと厳しいDr.Dに
編集部の紅一点で永遠の20歳つぐ美さん等々、名物編集者がキャラクターとして確立していまして、
プログラムの寸評「チェッカーフラッグ」から床の小ネタコーナー「オーバーフロー」に至るまで、
随所で愉快な掛け合いを見せてくれたものです。
現在のプログラミング専門誌は、ゲームプログラミングであっても技術説明が中心で、
取っつきにくい印象がありますが、ベーマガはこうしたキャラ立てのおかげもあって、
非常に楽しく親しみやすいものになっていました。
今にして思えばベーマガの掲載プログラムは、「ログイン」「ポプコム」等の他誌に比べ、
高度なことはやっていないのですが、その親しみやすさゆえ、
格好のプログラミング入門となっていたのだと思います。


ベーマガの本分はやはりプログラミングだったのでしょう。
後年、国産パソコンの衰退や大容量メディアの普及にともない、
紙面に掲載されたプログラムを入力することが身近でなくなっていくにつれ、
雑誌の勢いの衰えを感じたものです。


ところで、この「ハンバーグを焼こう」では、掲載時にリストの誤植がありまして、
86年4月号掲載のリストをそのまま打ち込むと、画面表示がおかしくなります。
当時はリスト自体が間違っているとは思いもせず翌月に訂正情報が載るまで、
目を皿のようにして「間違いのない」リストを何度も見直したのも、
あの頃の忘れられない思い出となってます。