何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

荒井がパソコンを始めた頃の話

今回は荒井の思い出話を少々。







(上から順に)
「ジャンプマウスゲーム」
「お年玉ひろいゲーム」
「どうくつ探検ゲーム」〜いずれも学習研究社「科学」1985年頃の号・別冊付録に掲載


荒井がパソコンを始めた1980年代中盤は、
ちょうどファミコンやもろもろの8bitホビーマシンなどなど、
コンピューターというものが家庭に普及し初めてきた頃でした。
飽くまで「おもちゃ」としての用途が大半だったわけですが、
それらおもちゃは、少年らにとって格好のコンピューター入門となっていたわけです。
当時荒井は小学生で、周りの友人らの多くはファミコンを買い与えてもらっていましたが、
中にはMSXを買ってもらったという人もいました。
MSXは比較的安価なので「ゲーム以外のこともできるコンピューター」として、
ファミコンの比較対象になったわけですな。
で、荒井の友人にもMSXユーザーが何人かいて、彼らの家に行くたびに、
雑誌掲載のプログラムをあれこれ入力して遊ばせてもらっていました。


今回紹介するのは、そんな時代に荒井があれこれ入力したゲームプログラムで、
どれも1985年頃の「科学」に掲載されたものです。
当時の「科学」には、ホビーパソコン紹介記事がしばしば載って、少年らの興味をくすぐったものです。


「ジャンプマウス」は、カーソルとスペースキーでネズミを動かし、
画面の下から迫ってくる「ヘビ」をひたすらよけ続けるゲームです。
MSXデフォルトのWIDTH設定29桁に合わせて作られているのですが、
にもかかわらずプログラムリストには「WIDTH29」のステートメントがありません。
うっかりWIDTH設定が変わっている状態で実行すると、途端に挙動が狂います。
当時はBASICの知識もろくになかったのでこのバグに気付かず、
たまたまWIDTH32で動かしてしまったら「動作がおかしい!」と悩んだものでした。


「お年玉ひろい」は、いわゆるヘビゲームです。
自分の胴体や外周に当たらないよう、ひたすらフィールド上のドットこと「お年玉」を拾います。
お年玉の中には「ハズレ」が混じってまして、これを拾うとその場でゲームオーバー。
ハズレは白いドットで描かれるのですが、これがくせ者。
RF出力の環境で遊ぶと色滲みがひどくて、白が白以外の色に見えたりするのです。
ですから白と判らずに拾ってしまってゲームオーバーということもあたりまえでした。
サクマ式ドロップスで葡萄ドロップだと思って口に入れたら薄荷だったようなものですな。
後年、RGBディスプレイで遊んでみたところ、白がちゃんと白に見えたことに感激した覚えがあります。


「どうくつ探検」は、いわゆる「ヨッパライ」です。
「ヨッパライ」とは当時の自作ゲームではたびたび見かけたジャンルで、
キーを押せば上昇、放せば下降するドットを巧く操作し、障害物をかわしていくゲームです。
そのドットの描く軌跡を酔っぱらいの千鳥足になぞらえたのでこう呼ばれます。
本作のドットには「加速度」がありまして、押しっぱなしにしたり放しっぱなしにしたりすると
どんどん加速して操作しづらくなります。
本作ではこの一癖ある操作が意外と良くできてまして、けっこう面白くて何度も遊んだものでした。


これらプログラムはいずれも一画面程度のショートプログラムです。
当時はMSXこそ持っていても、データレコーダーまで持っているという友人は少なくて、
せっかく入力しても記録することができず、遊ぶ都度打ち込んでいました。
まぁ、短いからこそそういうこともできたわけです。


1986年の正月、カシオの激安MSX「MX-10」を購入して、
自分もいよいよナイコン族から脱出したのですが、
いざ自分のパソコンで遊ぶたびにいちいち入力となると、
やっぱり面倒ですし消すのがもったいなくなります。
かくして荒井はデータレコーダーを導入することとなったのでした。