何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

茎ノ峯峠に行ってきた




そろそろ薮が深くなってきたので、
峠巡りも林道や山道、登山道といった、
夏でも比較的通りやすいところが中心となってきます。
そういうわけで、今日は茎ノ峯峠に行ってきました。


茎ノ峯峠は白鷹町黒鴨の北方、朝日町との境にある峠で、
その昔は山毛欅峠・地蔵峠と連絡して大井沢に至る街道の一部をなしていました。
この道は置賜からの三山行者の便宜を図るために整備されたもので、
整備した人物の名を取って、通称「道智通り」と呼ばれています。
山毛欅峠と地蔵峠も近々見に行く予定なのですが、
それに先だって、道智通り南の入り口を見ておきたいと思ったわけです。


峠には林道が開通してまして、一応自動車でも到達可能です。
最悪、坪景峠級の薮道だったらどうしようと心配していたのですが、
大平までの萬世大路程度には整っていました*1
峠に至る途中には、文政5年建立の山神碑や、
朝日鉱泉と湯殿山の追分を示す碑などもあるのですが、
中でも圧巻なのは、光明海上人の入定窟です。
有名な鉄門海上人をはじめ、山形には即身仏が多いのですが、
彼らの多くは湯殿山行者であることが知られています。
光明海上人もその一人でして、その即身仏置賜の山奥で見つかったということは、
この峠がかつての参詣道だったことを何より雄弁に物語っています。


意外にも、鞍部とおぼしき場所には「ブナ峠歩道」の標柱がありまして、
そこから薮っぽい登山道が延びていました。
旧い地形図に寄れば、峠道は北にある木川ダム上流付近に出ていたのですが、
すっかり消え失せたと思っていただけに非常に驚きました。
こちらもぜひ探索してみたいところです。





近くまで来たついでにと、尖山と愛染峠にも寄ってきました。
尖山は茎ノ峯峠の南にある山で、頭殿山登山道の途中にあります。
山頂は展望がよく、南に置賜盆地、東に白鷹山と村山盆地、北に月山を望めます。
西には頭殿山が大きく見えまして、ぜひ登りたかったのですが、
愛染峠に寄る都合上、またのお楽しみにしておきました。
頭殿山は通好みの山として知られており、この日も幾人かの登山客が訪れていました。
茎ノ峯峠の道は、一部頭殿山へのアプローチを兼ねていますので、
割合に人が訪れているようです。





風穴探しで何度か黒鴨林道には来ているのですが、
愛染峠まで行ったのはかれこれ1年と9ヶ月ぶりです。
2006年当時に崩れていたところはきれいに補修され、
問題なく通れるほどに復旧していました*2
今日は天気にも恵まれ、鞍部からは白鷹山と笹谷峠がはっきりと見えました。
鞍部ではオフ車乗りの方と出会い、絶景を見ながらあれこれ話し込んだのですが、
全く、単車で訪れるに最高の日和でした。

*1:相当にガレている悪路であることに変わりはなし。道路が滑沢と化しているところで単車ごとコケました(泣)

*2:茎ノ峯峠の悪路を走った後だっただけに、なんとまぁ走りやすいこと!