何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

高級さの方向性

Vertuはハンドメイド加工や高級部品、宝石や金属素材などをあしらい、海外で数百万円(日本円換算)の価格で販売することで知られるラグジュアリー携帯ブランド。現在、同製品は世界48カ国で展開するVertu専門店と370以上の高級時計、宝石店および百貨店内店舗でのみ販売する。Vertuは日本で利用できるW-CDMA方式も兼ね備える端末を開発し、2008年秋の国内販売開始を目指す。今後、ベルパークと国内市場における事業展開の準備を本格化していく考え。

品物としては面白いし、こういうものがあってもいいと思いますが、
外装に高価な宝石や貴金属をちりばめただけで「高級」を名乗るのは、
機械として寂しいような気がします。


高級コンパクトカメラが「高級」と呼ばれるのは、なんと言ってもその作りゆえです。
外装に金や宝石こそ奢っていませんが*1、工芸品のような筐体、
撮影者の意志を反映できる操作系、一眼レフカメラに劣らぬ描写力のレンズなどなど、
「極上の写り」を得るため、技術の粋を集めて作りこまれたものだからこそ、
高級コンパクトカメラは高級たりえています。
それは精度を追求する機械式時計や、音質を追求するオーディオも同じです。
ところがこの携帯電話の場合、電話にとって一番重要な「よく聞こえてよく伝わる」という部分が、
果たしてどれだけのこだわりをもって作り込まれているのかというと、
残念ながら、記事では一つも言及されていないのです。
これじゃぁ、豪華な「デコケータイ」です。


機械が高級たり得るのは、その本質的な性能ゆえ。
高級を謳うのであれば、そちらの方面にも力を入れてやっていただきたいものです。
安物ラジカセを大量の宝石で飾っても、これを高級オーディオとは言わないでしょう?

*1:いいとこ金塗装。せいぜいチタンと人工サファイヤぐらいのもの。もっとも、写真機にとって一番の「宝玉」とはレンズそのもの。