何とか庵日誌

本名荒井が毒にも薬にもならないことを書きつづるところ

本来の趣旨

大小の鈴でにぎやかな音を奏で、華やかな装束をまとった農耕馬が練り歩く岩手の伝統行事「チャグチャグ馬コ」が10日、盛岡市を中心に行われた。 朝からの曇り空は次第に晴れ「小荷駄」と呼ばれる赤や黄、緑などの鮮やかな装束で着飾った約90頭の馬が、法被姿の子どもたちを乗せて滝沢村の鬼越蒼前神社を午前9時半に出発。「チャグ、チャグ」と行事の語源になった鈴の音とともに、約15キロ離れた盛岡市の盛岡八幡宮を目指して田園や町中をのんびりと進んでいった。 江戸時代、田植え作業で疲れた馬の無病息災と五穀豊穣(ほうじょう)を願って神社にお参りしたのが起源で、馬の装束の豪華さを披露したという。国の無形民俗文化財に指定されている。

その昔、荒井が岩手の大学にいた頃。大学の先生から聞いた話。


「こないだチャグチャグ馬コを見に行ったんですけどね...馬が息を切らしてるんですよ。
もともと農作業で疲れた馬に晴れ着を着せて、この日ぐらいは休ませようということで始まった行事なんですけど、
最近は馬を飼っている家も少ないでしょう。花巻や水沢のあたりから借りないと数が揃わなくて、
しかも日頃農作業をさせているわけでもないから、体力がないんですよ。
数十キロの衣装をまとって滝沢村から八幡宮*1まで歩くだけでも、馬にとっては堪えるようなんですよ。」


馬をいたわるはずの行事が、かえって馬を疲弊させていたというのも皮肉であります。
着飾った馬でなく、トラクターによる行進の方が、実は本来の趣旨に法っているのかもしれません。
盛岡に4年住んでいたのにチャグチャグ馬コは一度も見たことがない荒井でした。

*1:盛岡八幡宮